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ちいさきものたち

【文字数:約1,100文字】

 夏の暑さにかまけ、前回から2ヶ月が経っていた「おたからさがし」の第14回はキノコ特集だ。

 ちなみに先日の記事において、最盛期を迎えた「ドクツルタケ」を取り上げている。

 秋が深まると空気が変わり、キノコもそれを敏感に察して森は賑やかになっていく。

 緑色にあふれた空間に咲くキノコは、春や夏を彩る花のように愛おしいと私は思う。




 ヘッダー画像にしたのは「アカヌマベニタケ」と思われるキノコで、鮮やかな赤というか朱色でありながら、小さいので気づかず通り過ぎてしまう人も多いだろう。

お地蔵さんの頭にありそうな

 大きさは指の高さくらいで、1円玉より小さいものが多い。

 しかしながら生育に適した場所には大量発生しており、次のような「きのこむれ」として遭遇するときもある。

手の広さに5本が生える

 小さいからといってもキノコなので、乾燥した岩や砂が主体の場所では生えず、苔に覆われた場所を好むような。

 地面に張りついているだけに思える苔は、長い期間に渡って湿り気が保たれ、土壌が流れてしまうなどの変化が少ない場所にしか生えない。

 移動のできる人間にはどうでもいいことかもしれないけれど、何らかの理由によって移動が難しくなったとき、彼らの生命力に尊敬を寄せることだろう。




 次は「チシオタケ」と推測されるキノコで、名前は不穏ながら見た目は可愛らしい。

薄紫に見えて気品がある
「きのこの山」ではない
横から
下から

 私が見つけたのは3cmくらいだったと思うけれど、老成すると鮮やかさが失われるそうで、成長中がもっとも美しいのかもしれない。

 キノコの根本に注目してもらうと、これは朽ちた切り株と苔の間から生えており、地面はもちろん生きた樹木とも接していない。


 キノコには木の根に付く「菌根菌」と、チシオタケのような「腐朽菌」に分けられ、前者が木と共生しているのに対し、後者はパンに生えるカビと近くて木を腐らせる。

 すこし前に取り上げたドクツルタケは、食べると猛毒ながら白くて美しい見た目をしており、かなり目立つほど大きくなる菌根菌のタイプだ。

 ざっくりとした分類になるけれど、大型のものは必要なエネルギーも多いので菌根菌、小型のは腐朽菌のタイプと考えてよいだろう。

 長く土地に根を張った樹木がないと、菌根菌のタイプも定着できない。

 つまり彼らの毒性どうのこうのは脇に置いて、歴史ある森の証明として見ることを私は勧めたい。


 そういえば先日にフォローしている方が私を「キノコ愛好家」として紹介してくださった。

 キノコ記事は決して目立たないけれど投稿したことが実を結び、あるいは形になっている証明かと思う。




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