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【前編】福祉を知らない子供たちへ福祉のオジサンによる熱血授業


先月、浅口市内の小学校2校から、福祉についての出張授業のオファーをいただき、現場支援スタッフをそれぞれ1名ずつ連れ、訪問。

今回のnoteは、小学5年生向けの授業「総合学習/福祉について」の内容を全て公開します。

学校の先生方や教育を発信する方々に伝われば幸いです。



今回訪問した学年は1クラス30名ちょっと。2クラスあるので、5.6時間目のなかで、それぞれ回る内容で実施しました。


ひとまず、授業の「めあて」を子供たちと共有。


●障害者のことを理解する
●困っている人をサポートする方法が分かる

話が早速、脱線しますが、人前で話をする時って「ゴール」大事じゃないですか?
もう社会人21年目のオジサンなので、小学生相手でも手を抜きません。「めあて」はキチンと整理しました。


【授業の内容】
①障害をもつ人たちって、どんな人?
②障害をもつ人たちの気持ちや考え
③障害をもつ人たちをサポートするための工夫
④障害をもつ人たちへ僕らができること

これは事前に先生と申し合わせをして決めたコンテンツです。


①障害をもつ人たちって、どんな人?


子供たちには
「障害者は色々な不便がある人たちです」
とまずは説明。

考えたり、選んだり、決めたりすることが人より苦手、またとてもゆっくりな人たちを『知的障害者』

そして病気や事故などで、目や耳が不自由だったり、身体が動かしにくかったりする人たちを『身体障害者』と伝えました。

例えばこんな人たちがいますねと紹介したのが、辻井伸行さん(ピアニスト)、乙武洋匡さん(作家、ライター)、パラリンピックメダリストたち。

抽象→具体→例示の手順ですね。鉄板の伝え方です。


彼らを知ってる児童たちも結構いました。
僕の大学の友達も紹介したり、あお空の利用者の方を紹介したりと、身近にいる人たちなんだよってこともキチンと添えてみました。



②障害をもつ人たちの気持ちや考え

ここはワークを取り入れました。
ひとつ目は『イラストを描こう』です。


児童2名を黒板の前に誘導し、「これから僕がお題を3つ出します。正しく書いてください」という流れ。

僕「一問目、野球ボール」
児童「簡単やん」
僕「二問目、ライオン」
児童「うわ、急にむずいやん」
僕「三問目、ちょっと」
児童「ん?」
僕「ちょっと」


子供たちは困っています。
僕「じゃぁ、ちょっとコッチ」
児童「書けんわ」

前に出てきた子供たちへ感想を聞きました。
「何をいっているか分からなかった」
「どうやってイラストにしたらいいか分かなかったし、難しかった」

僕は次のようにまとめました。

皆んなが今、感じた思い。
戸惑いや言葉を表現できないもどかしさは、知的障害の人の気持ちによく似てると言われています。
知的障害の人のなかには、僕たちが普段使っている言葉を聞くと『何言ってるの?』と思ったり、『どうやって返事するの?』と混乱することがあります。なので、周りの人たちは、言葉の伝え方や言葉の選び方がとても大切になります。

と、結びました。


次のワークは、『折り鶴を折ろう』です。

こちらも同様に2名の児童に協力いただき、軍手を着けたまま、折り鶴を1分半でどこまで折れるかチャレンジしてもらいました。

「うまくいかーん」
「指が太いけん、めくれん」
「あー、もう!できん」

取り組んだ児童たちは
「うまく指が使えなかった」
「細かいところが難しいかった」と感想を伝えてくれました。

これも同じように僕がまとめると

皆んなが感じた思いは、身体障害を持つ人たちの気持ちに似ていると言われています。
自分の頭で考えた動きが、上手く指の先や足の先に伝わらず、イライラしたり、焦ったり。
身体が不自由な人のサポートする時は、焦らせたり、急かしたりすると、余計に動きにくくなります。タイミングに合わせて、動きを補助したり、待ったりすることも大切です。
そして、自分がやりたいのに、相手が全部してしまうと、悔しい気持ちにさせてしまうこともあります。手伝って欲しい範囲は人それぞれ。
相手に何を手伝えばよいか、確認することは、とても大切になります。


この様に、結びました。
障害者の気持ちの体験といえば、車椅子の体験、視覚障害(アイマスク)の体験などが鉄板ですが、今回意識したのは、「子供たちの日常に近い体験」です。

子供たちにとって、また一般の方にとって、車椅子やアイマスクは、非日常じゃないですか?

福祉という特別なカテゴリーでの体験ではなく、日常体験の延長線上にある不便の体験の方が、肌触りのあるものと思っています。学びは、日常に近い方がオモシロいんです。


※次回
③障害をもつ人たちをサポートするための工夫
④障害をもつ人たちへ僕らができること
を更新します。コチラ↓ 

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