メンタルヘルステック業界のカオスマップを作る中で感じた3つのこと
先日、業界の情報を整理する目的でメンタルヘルステック業界のカオスマップを作成しました(サムネイルのやつです)。
今日はこのマップを作る中で感じたことをまとめていきます。
①メンタルヘルスサービスの少なさ
日本で医療機関に受診している精神疾患患者は327万人いるそうです(厚生労働省, H29)。この値に、医療機関への受診をしていない潜在的な患者の数も合わせると、かなりの数の人が心に不調を抱えながら生活していることが分かります。
これだけメンタルに不安を覚える人がいるのであれば、そうした人たちを対象とするサービスがいっそ乱立していてもおかしくないと思うのですが、今回調べた限りではそんなに多くのメンタルヘルスサービスを確認することはできませんでした(計52個。とりあえず自社HPを見て、サービスの目的に少しでも「心の不調を回復させる/予防する」の要素が入っていると筆者が勝手に判断したものをカウントしています)。
さらには今年でクローズしたと思われるサービスも2, 3個確認しました。学生の頃にちらっと聞いていた話ではありますが、この辺りの状況を踏まえると、やはりメンタルヘルスの業界はしっかりとした収入を継続して得るのがかなりむずかしいところなんだなと感じます。
あくまで想像にはなりますが、このマネタイズのむずかしさは、以下のような理由でサービスを利用しない/できない人が多くいることからくるのかなと思いました。
・サービスを必要としているけれど、お金を回す余裕がない
・精神的に不調だけれど、メンタルヘルス関連への支出優先度が高いわけではない
・サービスの効果に疑いを持っている
・サービスの存在を知らない
いずれにせよ増えてって欲しいですね・・・
②メンタルヘルス系Webメディアの効用
今回作成したマップでは8つのジャンルを設けてメンタルヘルステック業界を区分けしています。
ジャンルに関してはemolさんが公開されているカオスマップをベースに規定しました。基本的には踏襲させていただいているのですが、2つほどオリジナルのジャンルを入れています。その内の1つが「Webメディア」です。
Webメディアをここに入れたのは、筆者が過去メンタルヘルス系の記事を読んで、ほんの少し生きるのが楽になった経験を何度かしているためです。またtwitterなどを見ていて、そういう経験をしているのは自分だけではないのかなと思ったのもあります。
楽になった経験とは、例えばこんな感じでしょうか。
自分と似たような生きづらさに悩んできた人の歴史や思想に触れることで、「ここにも辛い思いをしてきた人がいるんだな・・・よかった」という少し不謹慎な安心感を覚えたりだとか。
あとは、何気ない、しかし自分のメンタルにとっては重要そうな問いを自分の中に抱えたときに、以前読んだ記事の一節をなんとなく思い出して、より楽で、より良いと思われる方向に自分を誘導できたりだとか・・・。
もちろん記事というのはピンキリですし、メンタルヘルスの記事を読んで逆に傷つく人もいると思うので、メディアが万能というわけではありません。ですが、良質なメディアには確かに人を回復に導く力があると個人的には思っています。
以下は筆者が好きな「回復」に関するsoarの記事です。
ー引用ー
”「わたし」がわたし自身として「回復」していく物語ーそれは、正解のルートが分からないなか、時に迷ったり後戻りしたりして、空白の地図に少しずつ少しずつ書き込みを加えながら歩いていく旅路に似ているのかもしれない。”
③toBとtoCの話
メンタルヘルステック業界の中でもtoBとtoCのサービスがありますが、今回いろいろ調べる中で、改めて自分の興味はtoCのサービスに向いているんだなと思いました。
というのも、良くも悪くも筆者は自分の経験したことからしか興味分野が形成されていかず(普通そうかもしれんけど)、これまでに劣悪な職場を経たこともないので、労働環境改善系のサービスが多いtoBよりも、個人の心の問題に焦点をより当てているtoCの方が自分のやりたいことに近いと感じているのだと思います。
もちろんこの辺はこれから変わっていく可能性もありますが・・・
余談ですが、労働環境改善系のサービスの中でも、アンケートなどで社員の匿名性を担保しているサービスの思想には共感を持てました。自分なら匿名でないアンケートには本音で答えないだろうと思ったからです。
会社をしっかり信頼している場合は普通に記名でもいけますが、その場合はそもそも直接上長や同僚に本音を伝えられているのかな・・・とかも。
最後に
次は海外の有名なメンタルヘルスサービスを調べてみて、日本のサービスとの違いを洗い出してみたりしたいです。
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