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頑張れ果物農家。

色々な連絡ツールがあるが、私は最近はもっぱらLINE。
きっと多くの人がそうではないだろうか。
才能があれば絵手紙なんて挑戦してみたいが、とてもじゃないがやる前からどうなるかは想像がつくので手は出さない。

そんな中で、この季節にだけ決まって電話をくれる友達がいる。
普段は極たまに、LINEをする。
彼女は小中学生の時の同級生。
当時は、学校で1番仲が良かった。
高校にはいり、少しづつ距離が出来てしまった。

再会したのは成人式。
久しぶりに会う彼女は、以前と変わらなかった。
式が終わり、同窓会。
“思い出話に花が咲く”とはこんな感じか…と思うほど、卒業して数年なのに懐かしい会話をする。
終盤、また会おうよと声をかけると

『来月結婚して違う県に引っ越す』

と告げられた。
詳しく聞くと、高校卒業後すぐに働き始めた会社で出会った人と、来月結婚するとのこと。

それじゃあ今まで以上に会えなくなるなぁ…
と考えボーっとしていると、連絡するからねと。
引っ越す前日、中学の同級生数人で
式は挙げない彼女の為に結婚のお祝いと送別会をした。

それから数ヶ月…。
連絡は一向に来なかった。

環境に適応するのは中々大変だ。
結婚し今までとは違うライフスタイル、遠くに行けばさらにそれを取り巻く環境も変わる。
近くには親も友達もいない。
頼れるのは旦那のみ。

そして、連絡が来たのは2月に引っ越しをしてから4ヶ月後の6月。
久しぶりの電話に少し緊張して出てみると、第一声が『桃食べる~?』だった。
元気そうな声が聞けて何よりだが、少し拍子抜けした…。

ん?桃??

聞けばその子の嫁ぎ先は、桃の産地で有名な県の桃農家だったのだ。
基本的には手伝わない様だが、毎年沢山の桃が採れるので送ってくれると言う。

お願いすると、3日後に甘い香りの箱が届いた。
桃が沢山入っていて、中には手紙が。
~まだまだあるから、食べてくれたら助かる!
欲しかったら連絡してね~
と言う内容。
なんとも贅沢な話し。

そんな電話と桃と手紙が我が家には毎年届く。
なぜか桃の時だけは、電話。
これぞまさに、季節の便り。

だがある時2年間だけ、その電話が途絶えた。

それは、2011年の6月と翌年の6月。
そう…東日本大震災、原発事故。
無事なのは確認できていたが、桃の連絡はなかった。

2013年。
『ねぇ~桃は~?』とこちらからLINEした。
すると、『えっ…良いの?』と返信が来た。
やっぱり…予想通りの答え。
風評被害だ…。

私は、食べたいから送ってと頼んだ。
彼女はLINEでも電話でも手紙でも、『子供がいる人にはあげないでね…』と私に注意した。
ちゃんと検査してあるのに、人にあげたら嫌がられるかも…
それが心配らしく私に何度も注意した。

ようやく2年ぶりに送られてきた立派な桃。
その年は、沢山の桃を家族だけで食べた。
本当に贅沢だ。
翌年からは震災前と同様に友人達に聞けば、もちろんみんな欲しいと言った。

そんな友達から先日あった電話。
もうそんな季節かぁ…と電話に出ると、
今年はコロナウイルス…。

送る?どうする??
送って!
大丈夫…?

はぁ~!?
もうこっちは毎年来るものとばかりに期待して待ってる!
送って!!

今年は行きたかったいちご狩りもサクランボ狩りも、自粛で行けそうにない…。
本当に本当にものを育てている方には大変な年だと思う…。
だけど、季節の果物がお店に並ぶのを楽しみにしている。
出かけられない分、交通費まで旬のものに使おうと思う今日この頃(๑'ᴗ'๑)

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