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アイデンティティってなんだろう

中間のエッセイでアイデンティティについて学ぶ機会があったので、少し難しい話題ですが自分自身の経験を踏まえ考えてみました。

アイデンティティとは 'Who is Who' を知ること、つまり '私自身は誰なのか' を知ることです。

とはいっても、アイデンティティについての説は対立しており、

①アイデンティティは固定されているもの
②アイデンティティは変化するもの

と学者によって捉え方が変わります。近年は②のアイデンティティは変化するものという説が有力みたいです。

①のアイデンティティは固定されているもの、として考えられるのは「性別」「国籍」「人種」「名前」が考えられます。生まれつきもつその人の特徴です。

生まれ持つ特徴がアイデンティティの一つの側面であることは間違いありませんが、私は自分自身を表す要素として必ずしも含まれない場合もあるのではないかと思います。

というのも、女として生まれてきても男のような心を持つ人(トランスジェンダー)や、日本国籍を持ちながらも長年アメリカで暮らしたためアメリカの文化に染まった人など、生まれながらの特徴とは異なるような生き方をする人は数多くいます。

私は昔から活発な子供でやんちゃな遊びが大好きだったのですが、「女に生まれたんだから女らしく振舞いなさい」と何度も親に言われて育ちました。幼いながらに何故自分が女らしく振舞わなければならないのか考えたものです(笑)。

確かに「女である」ことは誰からみてもわかる私自身の特徴です。女らしく振舞うことで男の人から受け入れられやすくなり、今後の人生で役立つことも多いでしょう。しかしながら、そのような変えられないアイデンティティに縛られて生きるのはとても窮屈であるように感じます。

そのため、固定されたアイデンティティは自分自身を構成する要素の一つではあるし、他者との関わり合いで受け入れなければならない時もあるとは思いますが、それを他人に押し付けるようなことはするべきではないと思っています。

人種差別が起きている理由も、このような固定されたアイデンティティという考え方しか持たない人が、勝手に他人のアイデンティティを決めつけ、相互理解をしようとしないことによって生まれるのではないでしょうか。

アイデンティティは変化するものであるという説が広まっている理由としては、グローバル化が一つの要因であると考えられます。人々の行き来が盛んになったり、様々な文化に触れたりすることで考え方が変わり、自分を構成する要素も変化します。SNSの普及も一つ考えられますね。

自分自身で考えてみると、日本にいたときは「自分は日本人だ」と意識することは少なかったのですが、イギリスに来てから周りがイギリス人やヨーロッパ出身の学生が多いため「自分はアジア人だ。自分は日本人だ。」と考える機会が多くなりました。

人と比べて気づいたということは、アイデンティティは他者との違いによって生み出されるものなのでしょうか?

他者との違いは、自分を認識する一つの手段であると考えられます。あの子は家でぐうたらすることが好きだけど、自分は違うと思えば「自分は活発な人間だ」と自分自身の性格を知ることができます。他者と比較することで自分自身のアイデンティティに気が付くことができます。

その一方で、他者との同一性もアイデンティティを知ることのもう一つの手段になると思います。「女であること」「あるサークル属すること」は自分がある集団に属することを意味します。他人との性格、体格、考え方に共感すれば、自分がどのような人間であるか認識することができます。

「属する」ことの効果としては、ある集団に属することによって安心感を持つことができることが考えられます。自分と似たような考え方を持つ人がいるのだと認識することで、何か問題があったとしても周りの人が守ってくれるのではないかという集団心理が働きます。

しかし、悪い側面も考えられるでしょう。自分がどの集団に属するかがとても重要な意味を持つときがあります。たとえば、中学校のクラスでは小さなグループになって行動することが多いかと思います。その中でも「イケてるグループ」「割と普通なグループ」「地味なグループ」とカテゴライズされていき、自然と階級が付けられていきます。つまり、何かに属することの意味はグループの優劣を決定づけ、ヒエラルキー化をもたらします。

また、最近の研究では ’Identity’と 'Subjectivity'の違いについて議論されることが多くなったようです。

Subjectivityを日本語に訳すと「主観性」となりますが、日本語でもよくわからないですよね…。

例えば、毎日の会話、日々の行動は自分自身の「主体」を生み出します。自分と周囲との関わり合いを通して、自分自身は社会の中の'subject'となります。

これらの主体が積み重なった結果、自分自身のアイデンティティが形成されます。

簡単に考えてみれば、自分がどのような環境で育ったか、周りとどういう交流をしたかによって性格や物事の考え方って変わりますよね。毎日の生活の中から自分自身が形成されていく、つまりSubjectivityの集合体がIdentityであると考えられます。

identity, subjectivityの概念はまだまだ理解しきれていません。これらがどのように人々に影響を及ぼすのか、なぜ問題となるのか、もう少し考えてみたいと思います。

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