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夜空を見て思い出す

 昔から空をみるのが好きだった。楽しい時も、泣きたくなる時も、ずっとそばにあるものだっから。見上げればそこに必ずあるものだったから。そんな空は私の人生の相棒になっていた。

 社会人になり東京に来て2年半。「社会人3年目」がよく区切りの年といわれているように、3年目となると、仕事関係者が増え、1年間の仕事のスケジュールをなんとなく感じてきたころだ。後輩もできた。

 自分のできることが少しずつ増えることに仕事の楽しさを見いだせる一方で、自分への期待と現実に苦しむことが増えてきたのも正直なところだ。学生時代あんなに避けていた、エナジードリンクや栄養ドリンクが家に常備され、毎日忙殺される日々。あんなに憧れだった社会人とはかけ離れた姿の自分に悲しくなることもあった。

 そんなとき、ふと思い出すのが実家の最寄り駅前から見ていた夜空だ。住宅街からでも輝きを放つ数々の星座を見ながら、社会人になることに希望しかなかったあの頃を思い出す。未知に対する不安より、夢と希望が詰まっていると思っていたその場所は社会人の私にとって人生の舞台であり、夢そのものだった。

 COVID-19の中で、帰省ができない日々が続いている、ただ、目を閉じれば思い出す。

 次、帰省したときには、あの頃の私が思い描いていた自信を持った私があの空を見上げているように。

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