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ブーケ記念日

連日の大雨が止み
やっと空が晴れ間を見せてくれている
今日この頃

用事が終わった昼下がり
道を歩いていると
小さなお花屋さんを見つけた

軒先にはミニブーケが売られていて
どれもこれもとっても可愛い

その中でも特に
鮮やかなピンクやグリーンが印象的なブーケが気になり
手にとってみた次の瞬間
頭に浮かんできたのが

「自分のために?」

という言葉

自分のために、お花を買うの?

自分のために、お花を飾るの?

自分で自分に何かをするという感覚が
こそばゆくて仕方がない

けれども待てよ
それの何がいけないの?

いつからわたしは自分で何もしなくなったんだろう

いつからわたしは自分に何もしなくなったんだろう

綺麗なブーケを持ちながら
焦り始めるわたしの心

そうかどうやら
このブーケを買うには
何か理由が必要らしい


初夏の風が心地よく吹いてくれたから

嬉しそうにお散歩中の
もこもこヘアーのワンコが可愛かったから

今朝目玉焼きを上手に焼けたから

不思議な言い訳たちを
頭の中で唱えていると

「いらっしゃいませ!こちらにされますか?」


声をかけてきた店員さん

初夏の風が心地よく吹いてくれたから

嬉しそうにお散歩中の
もこもこヘアーのワンコが可愛かったから

今朝目玉焼きを上手に焼けたから


いや

そうじゃないんだ

このブーケ
わたしがわたしに欲しいから

こそばゆい気持ちと
不思議な言い訳を振り払い
店員さんに伝えたのでした

わたし「このブーケください、自宅用で」

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