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楽園

母の顔を見に広島に帰った。半年ぶり。入院先の病院もやっと慣れたみたい。でもホントは家に帰りたい。帰りたくて仕方ない。でも帰れない。足が不自由になって前みたいに一人暮らしは難しい。わかっているけど。

会うと嬉しそう。私も嬉しい。母は私よりも感情豊かで純粋。真剣に怒るし真剣に心配する。娘ながらそんなところはかわいいとさえ思ってしまう。母も私達(姉も)に会うといろんな感情が膨れて我慢してたものが溢れてすぐ泣く。最近は「ほら泣くよ泣くよ」とふざけて笑いに変えてるけど。

病院内のコンビニで一緒にコーヒーとサンドイッチを食べる。何気ない日常の風景だけどすごく大切な時間に感じる。
気持ちを母に残したまま別れる時はいつも少し切ない。
そんな余韻を残したまま母のいない家に帰るととんでもないことになっていた。
 
至る所にゴキさんのフンだらけ。ゴキさんの楽園。なんならゴキさまの亡き骸も2.3あり。家に人が住まなくなるとゴキさんが住む。乗っ取られる。掃除機かけて拭き掃除してたらだんだん腹が立ってきた。やりたい放題のゴキに。
すぐさまゴキブリホイホイ買ってきて目いっぱい仕掛けてやった。全てのゴキがゴキブリホイホイに引っ掛かってほしい。そう願いを込めて。

そして私は東京に帰る。飛行機の中。オーディオにはマカロニえんぴつの曲特集。なんとなく聴いてみる。

なんだかしみる。いい曲だな。ちょっと泣けるかもしれない。

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