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文章帖

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記事一覧

「美貌も火傷も気だるい朝も」 鈴木涼美『ギフテッド』

この小説は母と娘をめぐる物語で、作者は元AV女優にしてSFC卒、東大で社会学専攻でAV女優の自…

rnth
1年前
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「数学の神もイシューアナリシス」 シルヴィア・ナサー『ビューティフル・マインド』

この本は純粋数学やゲーム理論の分野で多大な貢献をした数学者、ジョン・ナッシュの伝記です。…

rnth
1年前
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「ウルトラマンが象った戦後日本」 福嶋亮大『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風…

※この文章は2022年5月15日くらいに執筆しました。 5/13に『シン・ウルトラマン』が公開にな…

rnth
1年前
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「恋愛は主義ではなく化学」 綿矢りさ『生のみ生のままで』

「恋愛の原子」というものがもしあるなら、それは相手を恋しく思い、相手のために何かしたいと…

rnth
1年前
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「世界は見方次第でどこまでも豊かになりうる」 宇野常寛『水曜日は働かない』

このことの意味が、最初はよくわからなかった。事実としてはたしかにそうだし、なんなら僕も昔…

rnth
1年前
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「よい方向へ向けた冒険の手引き」 チェ・スンボム『私は男でフェミニストです』

ジェンダーやフェミニズムを考えることは、そのまま自分自身のことを考えることでもある。なぜ…

rnth
1年前
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「数学は身体というノイズと共にある」 森田真生『数学する身体』

抽象の代名詞とも思われがちな数学のイメージを180度反転させ、身体や心こそが数学の基盤にあるというメッセージを確信を持って描き切った一冊。最初の「なぜ3以降の数字はどんな形式でも急に変化するのか」という問いに認知心理学をもって答えるところから、「人間が数学を抽象的に純粋化してきた歴史としての数学史」の記述をくぐり抜け、チューリングと岡潔を扱って人間の心にどうやって数学が迫っていくのかを具体的に思考し、最後は「情緒」や「風景」に豊かな一瞥を与えて巻を閉じる。数学の本なのに自然の

「"生きているだけで価値がある"ということの計算機科学的証明」 森田真生『計算する…

前作『数学する身体』が、数学という学問にひそんだ身体の声を聴き取っていくような一冊だった…

rnth
1年前

「凛としていてお茶目。爽やかでいて泥臭い」 碓井広義編『少しくらいの嘘は大目に …

やっぱり、人間はだらしないくらいがちょうどいいのかもしれない。生産性はあくまでも指標であ…

rnth
1年前
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「「本を読む娼婦」が教えてくれたこと」 鈴木涼美『娼婦の本棚』

本作は僕が最近ハマっている鈴木涼美さんの書評集である。 と書いてある通り、これは鈴木さん…

rnth
1年前
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「ソラリスとしてのコロナ」 福嶋亮大『感染症としての文学と哲学』

福嶋亮大さんは宇野常寛さんが今最も信頼する同世代の批評家です。この前『ドライブ・マイ・カ…

rnth
1年前
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「学び続けなければいけない時代に学ぶことを学ぶ」 落合陽一『0才から100才まで学び…

本書はタイトルにもあるように「人生100年時代における学び」について扱った本である。3部構…

rnth
1年前
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「季節はめぐる 希望はつづく」 『(500)日のサマー』

※この文章は映画のネタバレを含みます 『(500)日のサマー』は、夏のラブストーリーではな…

rnth
1年前
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