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プレゼントには本がおすすめだよって話

一週間だけ日本に久しぶりに帰国した。

この春、上の弟は大学を卒業し就職、下の弟は高校を卒業し大学へ、そしてわが母は粘り強い転職活動の上採用された会社へ転職と、みな新生活だったため、何か送りたいなーと思っていた。

母は自分で編み出したストレス発散方法をもうすでに持っているため、それに沿ったプレゼントを用意したのだが、

はて弟、何をあげよう?

そもそも私はバイトができないビザで海外に滞在している身であり、お金が増えることは残念ながらない。(年がら年中節約生活)
それに母に経済的に頼ることが多いため、お金のかかるプレゼントはなんだか気が引ける。

そこで思いついたのが、自分の既に持っている&読了済みの書籍を弟に合わせて選書し送るというスタイル。

まず大学に進学した下の弟。
入学後、難関国家資格を目標に掲げ、人が変わったように勉強熱心になった弟。私は弟にはストレス過多にはなってほしくないが、今のところ自由に勉強できることが楽しそうに見えたので、このまま伸びてほしいという思いを込めたいと思った。
そこで、語学の習得から古代遺跡の発掘まで青春時代の不遇にめげずに学問に対して情熱を燃やし続けたH.シュリーマン(池内紀訳)「古代への情熱」を贈ることにした。
と同時に、青春時代というのは専門分野の決定や就職など今後の人生を一気に具体的に想像させられる「揺らぐ」時期だと思う。
そこで二冊目として瀧本哲史「ミライの授業」を贈った。この書籍は中学生に向けて著者が講義を行った内容が元になっているが、私としてはこの「揺らぐ」時期にある人は誰が読んでも、人生の一つのきっかけになる本だと思っている。

そしてこの度就職した上の弟。
正直彼はそれまでの人生において読書をほとんどしない人であったため、彼にとって興味をそそられるテーマ、というのも重要な基準であった。それであって、何か決断を迷った時に、読んで何かヒントを得て、彼らしい決断ができることが、望ましい。
そこで選んだのが、内田樹「修業論」である。大きな理由の一つが弟は小中高と柔道をずっとしてきており、その武道精神をいつまでも保ってほしいという願いからである。
弟は昔から曲がったことがきらいで、野望がない人間であった。そのため、学生時代バイトで接客中によろしくない客とトラブルになってしまったこともある。(あれは今でも私は弟は悪くないと思っている)
社会に出れば、正義と真反対の理不尽な出来事もあると思う。普通、そこは社会は厳しいのだから慣れろ、目をつぶれ、と本人側を変える言葉をかけるのかもしれないが、私は逆にそのまっすぐな弟はそのままでもいいと言いたかった。決めるのは弟だが、この本が一つの選択肢になればそれでよいのだ。

ということで、初めて弟にこのような類のプレゼントを用意した。
結果はどうなるかまだわからない。第一、私は積読賛成派で(時期が来るのを待っているのみ)いつ読んでもらえるかもわからない。
だが、本を贈るというプレゼントは、相手のことを重層的に考える一つの機会となる。そして意味も複数込めることができる。

中国では一部分の人には、本を贈るのは良くない、という考えがあるらしい(中国の発音で「本」と「負ける」が同じため)
だが、私個人としては、発音という小さなことで本という素晴らしい価値のあるプレゼントが少なくなるのは、ちょっと寂しい。

まあとにかく、私にプレゼントを送りたいというときは、本を贈ると私はとても喜ぶよ!って話!笑

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