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エッセイ|本当のポジティブとは、涙を飲んで無理やり笑うことではない

明るい性格の象徴がポジティブで、暗い性格の象徴がネガティブと、捉えられがち。

ポジティブは悲しいことがあっても、良い方に良い方にと捉えて、その壁を乗り越えていくと、強い存在だと、捉えられがち。

世の中楽しいうれしいことばかりではなく、人生生きていれば投げ出したくなったり、逃げたくなったり、目を覆いたくなったり、明日が来ないでほしいと切実に願ったり。
そんな時、人々は「ポジティブ」という単語の名のもとに、「泣くな」「弱音を吐いてどうするんだ」「もっと頑張れ」「もっと強くなれ」「あとから振り返ったら必ず良い経験になるから」と他人から叱咤され、だんだん自分でも自分に課すようになり。

いつからか、ポジティブとは、そのような存在になったのでしょう。

本当にポジティブとは、そういうものなのでしょうか。

私は違うと思う。

本当のポジティブは、
涙をこらえ、自らの拳で腹を打ち気合を入れ、強がることではない。
本当のポジティブとは、
人にばれぬよう後ろに組んだ手で自ら手首に爪を立てて、表では笑顔を貼り付けることではない。

本当のポジティブとは、
悲しい時はぎゃあぎゃあ泣き、
寂しい時は人の温もりに頼り、
仲間を傷つけた奴には正々堂々と怒り、
ストレスがたまったら気の置けない友達とだべり、
吹っ切って最後は、まあなんとかなるか、と前を向く。

一度吐き出さないで、どう笑顔になれというのか。
フィクションは事実と違うのだ。私は生身の人間だ。休まなければ死ぬ。当たり前なのだ。周りに迷惑を、とか考えがちだけど、周りだってそのさらに周りの人に話を聞いてもらっているもんだ。
だから安心して吐き出して、安心して休むのだ。そうして元気になったら、他のやつの話も聞いてやればいい。そういうもんだ。

ちなみに、相談する側からすると、話をし終わる前に、それこそ「ポジティブ」に解決方法を提示してくる輩は避ける。相談には、共感してほしいのか、解決したいのか、努力を認めてほしいのか、はては否定してほしいのか、さまざまあるもんだ。

つまり本当のポジティブとは、やみくもに明るくなるんじゃない。ささっと吐き出していくこと、どしゃぶり雨からカラッと晴れた日のように。

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