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図書館司書ってどうなの?#私の仕事
・図書館司書に憧れて
「司書」と聞いてどんな人を思い浮かべますか?
本が好きな人なら、一度は憧れたことがあるかもしれません。
私もそんな小学生でした。
「図書館で働いている」と話すと、大抵の人が
「好きな仕事ができて幸せだね」
「本が好きだったから天職だね」
というような反応をかえしてくれます。
中には、カウンターに座っているだけで暇そう言われたり、
どんな仕事なのか全然イメージ出来ないと言われたりすることもあります。
もちろん、どんな仕事でも、その大変さは働いている本人が一番分かっているでしょう。
今、仕事が大好きかと聞かれると困ってしまう私ですが、
出会った魅力的な司書たちのリアルな様子を良い面、ブラックな面も含めて
伝えたいと思い、この記事を書いています。
・公立図書館でもひろがる「業務委託ビジネス」
公立の図書館で働いている=公務員
という図式が崩れつつあるのは知っていますか?
日本図書館協会の統計によれば、公立図書館で働いている職員のうち非正規雇用の職員が7割を超えています。(日本の図書館統計)
私の実感としては、東京の図書館で働いている職員の9割近くが非正規雇用
と言っても過言ではありません。
司書を専門職員として雇う自治体は少なくなっていますし、
大半の自治体で業務委託が進んでいます。
図書館の業務委託については、色々な制度があるのですが、人材派遣はもちろん、出版 ・流通・書店・印刷 といった図書館と関わりの深い業種から、図書館のシステムを扱う企業や設備・設計する企業あるいは警備会社など、たくさんの企業が参入しています。
指定管理者制度などで、図書館の運営自体を丸ごと委託先の会社が請け負うこともあります。複数の会社に見積もりを出させて、一番安い会社を選ぶというわけです。
規模にもよりますが、業務委託費は数千万円とされています。およそ半分が会社の利益で、司書の人件費などは残り半分から支払われることになるでしょう。
業務委託の司書は働きぶりが熱心で、利用者たちに評判が良いことが多いです。
自治体は会社を信用して別の仕事も依頼するようになります。大手書店の場合、本を販売できますし、新しい図書館を作る時はプロデュースも任されます。
現場での実経験から、会社は図書館を運営するノウハウに乏しいです。現場の司書が知識と経験を活かして運営しています。基本的に会社からのフォローはないと思った方が良いでしょう。
ノウハウは会社にあるのではなく、現場の司書自身が汗水たらして獲得しているものなのです。
・図書館司書の労働状況
そんな中、司書がどのように働いているかというと・・・時給は最低賃金〜1200円、契約期間は1年程度、交通費はなし、または上限付きだったりします。土日出勤しても、22時まで働いても時給は上乗せされないことが多いです。
契約社員の場合、賞与もありません。昇給もないに等しいです。会社は昇給できると言いますが、実は時給1200円で雇うべき人をわざと最低賃金で採用して、「頑張り次第」を条件に毎年10円ずつ上げる仕組みになってます。まともな評価制度が出来ていないことがほとんどです。
電車の大幅な遅延も認められないことがあり、遅れた分はきっちり天引きされます。シフト制なので休むことも許されません。病気や怪我で休んだら即無収入になってしまいます。長期休暇を取ろうとするなら、会社に嫌な顔をされること必至です。
「仕事は本当に好きで天職だと思う。でも食べていけない」という図書館司書の女性のツイートが話題になったこともありました。
私気づいたら10年以上司書やってんだな。
— よるこ (@yoruco_lib) June 21, 2019
大学卒業後、非正規だけど憧れの図書館で働いて、そこから3つの図書館で働いてきた。今年度で3つめの契約が満期になる。
真剣にこの先の人生を考えるともう図書館で働くのは終わりにしないといけない。仕事は本当に好きで天職だと思う。でも食べていけない。
図書館司書の現状は厳しいと言わざるを得ません。
・ニューヨーク公共図書館に憧れて
2019年に日本でも公開された映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観て、私自身はかなり衝撃を受けました。
この映画では、ニューヨーク公共図書館が図書の貸出しサービスを越え、就職支援プログラムや障害者住宅の手配、ディナーパーティー、シニアダンス教室、ファッションショーなど社会インフラとして、市民生活に密着した多様なサービスを提供する様子が映し出されていました。
国境や言語、思想や宗教の壁もなく、あらゆる人種、民族に属する人びとが積極的に図書館生活を楽しむ姿は、まさに公共図書館の目指すべき未来でしょう。
もちろん、日本の図書館とアメリカの図書館はそもそも制度設計が違うので、いちがいに同じようにするのは難しいとは思います。
ただ、図書館の未来について、今まで以上に様々な可能性を感じずにはいられませんでした。
・図書館司書の目指すもの
ブラックな面ばかり書いてしまいましたが、
私が出会った司書たちは、本当に、魅力的な人が多いです。
図書館では物静かだけど、仕事を離れたらおもいっきりガハハと笑う人だったり、おしゃれも買い物も大好きな人もいれば、美味しい飲食店の情報通だったりもします。サブカルに詳しくて、常に何かの沼にハマっている人も多く、絵を描いたり楽器を演奏するのが好きな人も、本当に色々な司書たちがいるのです。
シャイだけど真面目で明るくて優しい、そんな司書の姿が、
世間にあまり知られていないのは、何だかもったいない気がします。
世間の司書のイメージがイマイチなのは、司書が図書館に閉じこもりがちで、
積極的に外の世界と関わったり、意志を発信してないからかもしれません。
「もう図書館と司書はいらない」という意見さえ出ている現在、
図書館は利用者のニーズの変化に対応して、社会に役立っていることをもっとアピールする必要があるでしょう。
ロボットではなく、ヒトならではのサービスで。
どの業種も生き残りをかけて戦っています。
図書館司書も、生き残りをかけて立ち向かっていかなくては。
SNSを通して、色々と頑張っている司書さんたちにも刺激を受けています!
図書館を必要としてくれる利用者のためにも、
将来の夢を「図書館司書」といってくれる子どもたちのためにも、
私はまだこの仕事に誇りを持っているのです。
サポート頂けると飛んで喜びます! 本を買う代金に充てさせて頂きますね〜 感謝の気持ちいっぱいです!!