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どこにでもいる人間の半生18

旦那と出会ってから、丸8年か、9年か。

3歳年上の旦那。
はじめは鹿児島訛りのおだやかな口調に惹かれた。

特に本気だった訳ではないし、私は子どもが3人いるし、一度結婚に失敗している。

よく周りからは、旦那を褒められる。
連れ子再婚なんて立派だなぁ、と言わんばかりの内容だ。

側から見ればそうだろう。

しかし私にだって選ぶ権利はあると言うものだ。

自分が、子どもが、幸せになる為には。

彼は長年、一つの会社で正社員として勤めていた。
デートをする時にお金が足りなければATMでおろしていたし、お金のかかりそうな趣味もなさそうだった。

自宅に遊びに行けば手作りの唐揚げを振る舞ってくれて、自炊もできるのかと思ったが、掃除は苦手な様だった。

容姿はお世辞にもカッコいいとは言えないし、スタイルだって良くもない、ついでにファッションなんてビックリするほどダサかった。

けれど、彼は私が子持ちだと言うと、少しの間も無く、俺は8人兄弟で育ったから賑やかなのは得意だよ、と言った。

私は、この人は真面目で、人を属性であまり判断しない人なんだなぁ、と思ったし、お金の管理も申し分なさそうで、浮気の心配もなければ、優しいし、私が優位に立てそうだなぁと思った。

私は、子ども達に、男に負ける母だとはどうしても思われたくなかった。

しかし、私も人間であるから、人肌と言うものは、やはり人の親になっていても恋しくなるのである。

なんだかんだと、私には打算があったが、結局、最後に私を本当に惚れさせたのは、人の為に身を呈す事のできる彼の人柄だった。

旦那はと言うと、特に私の容姿に惚れ込んだ様子で、どこが好きかと聞いても、まず出てくるのは未だに顔と言う答えである。

旦那は当時のように子ども達を褒めちぎりはしなくなった。

高校1年生、思春期の長女とは、正に犬猿の仲である。

しかし、娘はずる賢い。
おねだりをする時には、お手伝いを率先してしてみたり、旦那に話しかけてみたりするのである。

旦那はなんだかんだと、口ではまるで小姑のように子ども達に小言を言いながらも、小遣いをあげる。

旦那と言う人は、ヒステリックな女のように声をよく荒げる事もあるし、ドラマで見る父親のように頭ごなしに叱る時もあれば、まるで少年のように戯けて遊ぶ時もある。

当時の印象と違う部分もたくさんあるし、数年一緒に暮らしていれば文句なんてお互いにいくらでも出てくる。

特に育児方針についてはソリが合わない。

私は子どもに甘すぎると言われる。

私が子どもの声を聞けと言う。

けれど、お互いに子ども達を大切に思う気持ちが一致していると言う事を理解しているから、大体いつも落とし所は同じ、まぁそれもわかる、である。

しかし、子ども達にはまだそこは理解できない。

嫌われ役を買って出ているのかと思うくらいに、旦那は下手だし、不器用な人だなぁと思う。

私がうつ病になって、旦那は真剣に支えてくれる。

からみ酒で鬱陶しい酒癖が1番腹立たしいが、暴力に訴える人ではないからまだ許せている。

仕事が終わると保育園に末っ子を迎えに行き、スーパーで買い物をして、18時30分頃にはキッチンに嫌な顔せず立つし、風呂に入ったのか!宿題は終わったのか!明日の準備はしたのか!寝る前に歯を磨け!はい、寝る時間!などと声をかけて子ども達の行動を促す。

日によっては子ども達とゲームをして遊んだり、ドラマを一緒に見たりする。

私がこれまで担って来た部分を彼を主軸に子ども達もそれぞれ協力して頑張って支えてくれている。

けれどやっぱり掃除は苦手だから、帰宅して家が散らかっていたり、キッチンを前日に片付けていないと自分にも腹が立つのか、とてもイライラしている。

だから、子ども達と一緒に、パパが帰ってくるぞ!長男は子ども部屋、次男はお風呂、三男は玄関、ママはリビング!急げー!!と、簡単に片付けをしたりするのである。

長女は気が向いたら参加して、洗い物をしてくれる。

大抵はお友達とずーっとライン通話をしてジャニーズに熱をあげているので彼女は今それどころではない、青春は待ってくれない。

結局、何が言いたいのか。

私は、愚かかもしれないし、ダメな人間かもしれないけれど、愛すべき人がいて、愛しているし、更に愛されているのだ、それは対等に。

照れ臭くて、愛なんてむず痒いこの言葉を使う時なんてほとんどないのだけれど、今は一番しっくりくる気がするのである。


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