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どこにでもいる人間の半生7

四男を出産後、初めてマタニティブルーになった。

入院中は毎夜のように涙が出るのだ。
理由はよくわからない、漠然とした不安感。
そして、家に置いている子ども達を思うとまた自分が情けなくて仕方がなかった。

もう5人目と言う事もあり、助産師さんは私に母乳の指導などを丁寧にしてくれなかった。

私は家事も育児も仕事も、何一つ自信はない。

それはまさに、できて当たり前でしょう?
と言われている気がして、更に私は出来ない、と言う事を浮き彫りにされた気持ちであった。

自分の中には、2つの自分の気持ちがある。

この子達の母親は私だ!
根拠はないけれど私が母で幸せだろう!
と言う傲慢で楽観的な私。

私は何一つ充分には出来ない。
どうすべきかはわかっているのに、その通りにはまるで出来ない、考えすぎて自信のない私。

どちらも私なのだけれど、そのバランスがうまく取れないのだ。

ぐるぐると、毎日が目まぐるしかった。

あんなに感謝していたはずの旦那さえ敵に見える事もあったし、子ども達へは愛情確認を度々していた。

産休もあけて、仕事に戻ると更に忙しくなった。

明日が来るのが嫌で嫌で、眠りたくなくなった。

朝から身支度や保育園の支度をして、時にはコンビニのおにぎりを車内で食べさせながら保育園へ向かう。

時には歯磨きをさせる時間もない。

小学校のPTA役員もしなければ、あのお母さんは、と言われてはならないし、行事や提出物、風邪を引けば病院へ連れて行き、四男はアトピーがあったので2週間に1度は病院へ連れて行く。

予防接種に定期検診、更には長女の不登校問題でカウンセリングに行ってみたり、先生と何度も面談をした。

当たり前のことが、滞りなくこなせない自分に苛立った。

その度に職場に頭を下げる。

私のキャパシティは限界に近づいていた。

全て自分が選んできた事なのに、それがこなせなければ私は自分を否定する事になる。

ひいてはまた、やっぱりあの人は頭の悪いダメな親だと言う目で見られてしまう。

怖かった。

すでに、きっとそう思われていたかもしれない。

それでも時間は過ぎ、毎日はやってくるのである。

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