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【読書ログ】『ここはとても速い川』 井戸川 射子

月末月初はちょっぴり忙しくなりがち。
ということで…お久しぶりの登場となりました、凛です。
金曜日の夜、いかがお過ごしですか・・・?
(って、書いているうちに、日付が変わりました!笑)


さて、今日はいきなり本題に行こうと思います♫

noteで大好きな読書の話を書き始めて、早1ヶ月が経とうとしています。
そんななか、初めてコメントで本をご紹介いただきました…!
すごく嬉しくて、すぐに本を手に取りました。

▼ご紹介いただいた本がこちら

児童養護施設で暮らす小学5年生の主人公・集の視点から、施設や学校での日常を描いた小説です。


まず、思い返すと、子どもの視点で描かれた物語を読むことが、すごく久しぶりで、新鮮な気持ちで読み切りました。

日頃、私には「子ども」との接点はほとんどありません。
そうなると、子どもの視点に触れることすらもなくなってしまいます。
そんな私なので、子どもたちが、日頃どんな風に物事を見ているのかも、正直よくわからなかったりします。
実際、この本を読み始めた頃は、子供の目線に立って、しっかりストーリーに入り込めるようになるまでは、ちょっぴり時間がかかりました。

この小説で日々の出来事について語るのは、小学5年生の男の子。
ときに、ハッとするぐらい冷静な目で、周りの大人たちを見ています。
私自身が幼かった頃と比較しても、こんなに俯瞰して物事を見ていなかっただろうなぁと思うと、すごく聡い子なのかもしれません。

私は、大人になった今でも、「自分」しか見えていなくて、反省することがたくさんあります。
でも、主人公の集は、いつも一歩引いた様子で(?)、周りの人に対して「自分だったら…」と考えながら、動ける子だという印象を持ちました。
集の姿を通して、どんなときも、その視点を忘れることなく生きていきたい・・・改めてそんなことを思っています。

同時に、この本を通して「大人が思っている以上に、子どもたちは大人たちをよく見ている」を痛感させられた気がしています。
だからこそ、恥ずかしくない生き方を、そしてなるだけ良い影響を与えられる生き方をしていこうと思わせてもらったりもしました。



そして・・・
ここからは少しだけ本の内容に触れちゃうので、気になる方は飛ばしてくださいね。


小説の最後、同じ児童養護施設で過ごした親友のひじりが、父親の元に帰ってしまいます。
ひじりの父親が住む家の1階がペットショップということで、一緒に暮らしていた頃、よく2人で出かけた淀川の亀を追いかけるためのエサ(亀ゼリー)を、丁寧にリボンをかけてひじりが集に送ってくれた…というシーンがあります。
*そして、このとき送られてきたゼリーは、まだ児童養護施設に一緒にいた頃にもらって帰ってきたものより高いものでした。

それに対して集は、

リボンはかかっとったけど、俺にとっては特別でも何でもないもんやという手つきでパッケージをはがす。

*『ここはとても速い川』より引用。

ここは完全に私の想像ですが、集にとって、一見以前より高くて特別なように思える亀ゼリーよりも、仲良しのひじりが隣にいてくれることの方がきっと大事だったんじゃないかな。

そんなことを思いました。

何気ない日常を綴るなかで、ときどき集が両親に思いを馳せる様子や、それに伴う感情が出てきます。
そんな集の心の動きからも、「誰かと心を通いあわせる」ことや「人の温かさや愛に触れること」を強く求める、寂しさのようなものが感じられたのは、私だけでしょうか。



思い返せば、最近は無意識のうちに、同世代の女性が主人公になっている小説を読むことがほとんどでした。
そこからときに「生き方」を学び、自分が歩いてきた奇跡と共通する部分を見つけては共感し、糧にしていく・・・そんな時間の方が圧倒的に多かったと思います。

いつものように「何かを学び取ろう」という気持ちよりも、純粋に子どもの目線で、日常を眺め、なるだけ同じ気持ちを味わってみようという気持ちで、読み進める・・・その感覚こそが、すごく貴重なものだったと思っています。

じつは・・・最初は「ご紹介いただいて、感想を書くからには、ちゃんとアウトプットできるよう、しっかり何かを吸収しなきゃ!」と意気込んでいた節がありました(苦笑)。
でも、途中からそんな気持ちは、すーーっと消えていたんです。

当たり前かもしれませんが、何かを学び取ることにフォーカスせず、”ただ純粋に楽しむ”という読書の楽しみ方があってもいいんですよね…!

なんだか…かつては当たり前のように出来ていたけど、いつの間にか忘れかけていたことを、この本を通して思い出させてもらった・・・今はそんな気がしています。


自分で本を選ぶと、つい手に取る本が偏りがち。
誰かに教えていただいた本を読むからこそ、いつも自分がいる世界を抜けることができ、気づくこと・得られることがあります。
これからも、そんな素敵な本との出会いを楽しむべく、周りの方からご紹介いただいた本を読んでいきたいなぁと思っています。

この度は素敵な本をご紹介いただき、本当にありがとうございました!
またぜひご紹介いただけると嬉しいです^^(お待ちしてます♡)


さぁ、週末がやってきましたね。
楽しく、充実した2日間になりますように。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!



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