#34 【雪国の冬】はじめてのパン作り
雪国の冬は、とっても長く感じる。
毎日どんより。
グレーの空に、真っ白い道路や山。
こちらの人々は、雨や雪が降らなければ、それは「晴れ」と呼ぶ。
「いや曇りやろ。」
と冷静にツッコミを入れたけど、その生活に慣れつつある自分。
雪が降る直前までやっていた畑仕事も、雪解けまでお預けで、土日の楽しみが減ってしまっていた。
そんな時、YouTubeのおすすめで出てきたパン作りの動画。
出来上がったパンのホカホカ感を、どうしても感じたくなった。
スーパーでドライイーストと小麦粉とバターを購入。
牛乳と塩と砂糖は家にある。
作り方は意外と簡単で、順番を守って材料を入れて、あとはひたすらこねこね。
問題は、発酵。
35度で1時間、40度で30分の発酵が必要とのこと。
オーブンにそんな機能はないし、発酵用の機械も持っていない。
あっ。
よくわからないけど、電気毛布に包んで1時間、その後こたつの中で30分でどうだろう?
初めてなのに、変なことばかり思い付く。
そしてやりたくなる。
室温は暖房をつけていないので7度。
とりあえずその暖房器具2つを使えばちょっとは温まるはず。
なんとなーくで温度も微調整してやってみる。
発酵中は、パンの香りがどんどん強くなる。
そんなことを朝からコソコソばたばたとやっていると、旦那さんが笑いながら、「また実験?」と聞いてきた。
「LABOは忙しいんだから。」とだけ答えて作業に戻る。
できたのかよくわからないけど、1回目の発酵(?)とやらが終わり、ガス抜きをして、成形する。
冷蔵庫にあったソーセージを巻いてみたり、手作りあんこを入れてみたり、とにかく思うがままに自由にやった。
そして2回目の発酵へ。
謎のソワソワ感が止まらないが、タイマーが鳴ったので、発酵(?)は強制終了。
180度に予熱していたオーブンで、13-15分焼く。
家中に漂う優しい香り。
あんな訳のわからないことをやっていたにも関わらず、この時ばかりはまるでパン屋さんになった気分。
あ、いかんいかん。
いつも、最後の最後で失敗する私。
食べるまで気を抜けない。
ピーッピーッピー。
出来た。
コーヒーをドリップして旦那さんを呼ぶ。
「これを作ってたのね。」とやっと理解した旦那さん。
いざ、実食。
出来立てならではの、ふわふわ感とバターの香りとやさしい甘みが一度に押し寄せる。
わぁ幸せ。
出来ちゃった。
初めてなのに、大成功。
ちゃんと膨らんだし火も通ってる。
寒い冬の、ホッと温まるひととき。
冬の雪国の休日を楽しむ、新しい趣味が出来ましたとさ。
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