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UXリサーチな業務ふり返り 2022

この記事は GMOペパボデザイナー Advent Calendar 2022 の17日目の記事です。
昨日はきでりんさんの「デザインリード1年目をふりかえる」でした。minneデザイナチームは傍から見ても雰囲気いいな〜と感じていたので、SDLきでりんさんはこんなことを考えていたのか!と知れました🙌

こんにちは、GMOペパボのホスティング事業部でデザインをやっているうえだです。

昨年のアドベントカレンダーでは「ペパボ新卒デザイナー1年目が入社から8ヶ月間をふり返る」という記事を書きました(もう2年目になりました。後輩がとても優秀でかわいい)。
前回記事でもちょこっと触れたのですが、今年はUXリサーチやっていき!な目標を立てていました。

普段はUXリサーチ以外の業務も多いのですが、この記事では「UXリサーチ」に特化して、ざっくりとやったことをふり返ってみたいと思います(といっても下半期は体調崩して休みが続いたりリサーチ以外の業務が多かったので、実質ほぼ上半期の話です)。
ペパボの、というより自分の視点メインの話なので、ゆるめにお読みください 👨‍🍳


🏃‍♀️ 🏃‍♀️ 🏃‍♀️


デザイン業務の一貫としてのUXリサーチ

私はGMOペパボでデザイナーとして務めていますが、UXリサーチだけを業務としているわけではありません。普段は幅広く"デザイン"の業務を行なっています。

以下のようにペパボには「スキルエリア」という複数のスキルからなるシステムがあり、その中で私は「リサーチ」を専攻しています。

GMOペパボのエキスパートスキルの一覧表です。
デザイナー向け会社紹介資料より

デザインの業務をやる中で、リサーチの機運が高まったらリサーチを提案したり、自分で企画・実施したり、という流れでやっています。
それでは、ペパボで実施したリサーチに関する業務をふり返ってみたいと思います 🏃‍♀️


🔎 新機能リリース前のユーザーインタビュー・コンセプトテスト

担当しているホスティングサービスで大きめの新機能をリリースするということでプロジェクトにジョインし、UXデザインとリサーチの部分を担当しました。

「担当しました」と書きましたが…「リリース前にユーザーの反応やターゲットのことをもっと分かっていた方がリリース後の効果がより大きくなるのでは?🙋‍♂️」と考え、リサーチ実施やった方がいいんじゃない、手法はこんな感じで、を提案するところから始めました。

この時は実施の提案から計画立て、準備から実施・分析までほぼ1人で担当しました。
実は私は業務でのユーザーインタビューは初の試みで、段取りがつかめなかった部分も大きく 1日に4~5名のN1インタビューをほぼ1人で回す×3日という、いま考えれば相当無茶なスケジュールを組んでいました。。。😂
(インスピレーション得まくりで脳汁ドバドバ、精神的にはハイになったけど体力的にはガチ疲労したのでおすすめしませんw

また、今回の機能はやや特殊でプロトタイプが作れないものだったこともあり、コンセプトテストという方法を採用してリリース前検証を進めました。
コンセプトテストは社内では初の試みでお手本事例がなかったため、「はじめてのUXリサーチ」や「UXデザインの教科書」など数少ない文献を舐めるように見ながら参照しつつ実施することができました。

結果、想定できていなかったユーザーの反応も含めて様々な声を集めることができ、リリース時のコミュニケーション設計に反映することができました。


🔦 リサーチ結果データ資産化の試み

先述のインタビュー・コンセプトテスト実施の前から企んでいたのがこの「データ資産化」でした。

これは現状の事業部のリサーチ体制に関する課題感から来たもので…
私が入社するより前に事業部で規模大きめなユーザーインタビューが実施されたことがあったのですが、そのドキュメントを見ると、結果のサマリーが丁寧に記録されていました。一方で、文字起こしは後回しにされテキストデータはほぼなく、詳細な生ログにアクセスしにくい状態になっていました。

🤷‍♂️ < いやいや、インタビュー結果の詳細なんて誰も見る暇ないんだから、サマリーだけで充分でしょ〜?!

そんな声が聞こえてきそうですが、、「詳細なリサーチデータに誰もがアクセスしやすい状態」を作ると、何がよいのでしょうか?🤔

ユーザーの声が蓄積されたデータがあると、その後の施策にも、仮説の根拠として使うことができますよね💡 
「あの時のユーザビリティテストでこんな声が上がっていたな」とふり返って辿れるし、より確度高い仮説立てに貢献できるのではないかなと思います。あらゆる施策で活きてきたら、まさに複利の実現〜!

また、文字起こし文章やインタビュー動画/音声の検索しやすさ・アクセスしやすさが上がると、気軽に「ユーザーの状況を把握しにいこう」という環境も作れるのではないかなと思います。
一度のリサーチ結果データを一度だけしか使わないのはもったいですよね。サービスに関わる全員で「ユーザーのことよく分かってるチーム」になると、より使ってもらえるサービスが作りやすくなるだろうな〜と思ってます。


インタビューの発話データをまとめたデータベースの画像。文字にはモザイクがかかっている。
調査結果をまとめたDB。設計に苦戦中

うんうん唸りながら何度も作り変えて設計にチャレンジしていました。


データベースの設計についてSlackで進捗を共有している画像
Slackにて。試みを後押ししてくれるやさしい環境


今回のトライ結果は、アサイン変更でチームメンバーが入れ替わった後のターゲットユーザー理解促進に使われていたり、オンボーディングの過程で新メンバーがユーザー理解のために参照しているのを観測しました👀
ただ、意図したほどは活用されておらず、まだまだ最適解は見つかっていない段階です 💭
来年はもっとやっていきたいし、事業部横断の試みも含めて考えてみたいな〜とひっそり企んでいるところです。引き続きトライして模索していくぞ!


📚 社内向け「リサーチノウハウ・マインドセット」勉強会

ペパボでは、デザイナーの社内勉強会「Designer's MTG(通称 デザミ)」が隔月開催されています(デザミの事例や詳細はテックブログでも紹介しています)。

「リサーチ」をテーマにノウハウ共有や事例紹介が行われた4月のデザミの中で、私はノウハウ・マインドセット共有パートを担当。資料は以下のようにNotionを用いてレクチャーしました。(6,600字超えのボリューム)

ケース別おすすめリサーチ方法をまとめている、Notionページの一部分
勉強会で使ったNotionの一部

実況スレも盛り上がりました 🔥

Slackに投稿された、参加者からの勉強会に対する反応コメント
実況Slackスレでのコメント

他職種からの反響も大きく、勉強会から約半年が経過した現在も、事業部問わずあらゆる施策で参照・引用してくださっているのを見かけます。この勉強会とドキュメントが、全社的なリサーチスキルの底上げに少しは貢献できたのではないかなと感じています🙌

勉強会の内容などは以下テックブログでも言及しているので、こちらの記事もぜひ見てみてください!


📚 社内向け「アンケート」勉強会

前述の勉強会とは別に、リサーチを専攻しているデザイナー3名で勉強会を企画し、デザイナー向けに実施しました。

ペパボでは社内外問わずアンケートの利用回数が最も多いですが、見ていると「この設問よくわかんないな…」「誤解を生みそうな設計だな」と感じることが多々あります。
逆に、いざアンケートを作る側になると「この設問でいいんだっけ…?」「分析どうしたら…」と、不安になるという声も聞きました😣(私もえらそうなこと言っておいて毎回レビューで全ひっくり返る設計しかできてない🙈

勉強会パートの多くは先輩デザイナーが企画・準備してくれたのですが、私は学生時代に受講した統計学の講義メモを引用したりしつつ、効果的な設計から手軽な分析までをざっくり紹介。

もともとはデザイナ向けに実施したものでしたが、職種超えてディレクターの方にも参考にしてもらっているようで、施策のアンケート設計に活用しているのを見かけました 🙌 アンケの精度上げて仮説の確度高めて、事業成長に貢献していきたい〜!


🌱 🌱 🌱


副業ではUXリサーチをメインで担当

ここまでは本業(ペパボ)の話でしたが、副業でもUXリサーチをやっていました💪

2月に以下の記事を書いたのですが、これをきっかけにお声がけいただき、株式会社ヘルスアンドライツで主にUXリサーチを担う副業を始めていました。(ちなみに本業での「リサーチもっとやりたい!」という衝動を副業で昇華している、という側面もあります🕵️)


✍️ ユーザーインタビュー分析

ヘルスアンドライツでは「ケアミー」というアプリを提供しているのですが、以下の記事でも紹介されているように、ケアミーの開発プロセスではユーザーインタビューが盛んに取り入れられています。

記事にもある通り、代表の吉川さんは私よりも遥かにインタビュー実施回数が多く「私が出せるバリューあるんか?😅」と当初は正直ちょっと不安になっていました。

ただ、ジョインした後に「今こういう方針を持っている。どうすれば、ターゲットの顧客理解をもっと深めることができるか?」というような問いかけをしてくださって、それに対して適切な解法を考えていく、というところから一緒に作り上げることができました。

「もっとふみ込んで深く顧客理解したい」というタイミングだったため、ユーザーの声の表層を集めるだけでは読み取れない、潜在的な気づきを得るための多角的な分析が必要になるのでは?と思い、主にインタビュー分析のところで尽力させてもらいました。
具体的には、発話データ分析(簡易コーディング)→ ペルソナ作成(行動変数の分析→行動パターンの分類)→ ペルソナ別カスタマージャーニーマップ作成 という流れで進めていきました。


✍️ ペルソナ作成

ケアミーは、私が本業で携わっているホスティングサービスよりもターゲットのスコープが明確かつ絞られていることもあり、ユーザーどうしの比較分析もしやすかったのが印象的でした。(ターゲットが広いと対象ユーザーもばらけがちなので、スクリーニングはマジ大事という学びを得ました。。)

そしてターゲットユーザーのインタビュー分析を重ねる中で、行動パターンが数種類浮かび上がってきました。インタビュー分析結果をメンバーと共有しているうちに「こういうタイプのペルソナが存在しそうだね」と議論する中で見えてきたのも印象的で。1人で作らず、3人で議論しながら作るという過程も初めてだったのですが、経営者・デザイナー・リサーチャーの3視点が交差して、解像度高くペルソナに落とし込めたのではないかなと思います。

ケアミーのチームは少数メンバーということもあり、経営陣と密にコミュニケーションをとりながらリサーチを推進できます。そのため、事業戦略の視点を取り入れながら分析できたことも大きかったと感じています。

そして作成したペルソナは社内共通言語となり、その後の戦略策定の判断材料としても機能したとのことで、UXリサーチャーとしてはやりがいある業務を担当させていただけたと感じています(戦略がうまくいってこそ、なのでこれからですが)。また来年以降は新たなプロジェクトでUXリサーチを担っていく予定です。楽しみ!🕺

 

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ふり返り

1年前はちょうど、ぼんやりと「UXリサーチに強みを持てたらなあ」と思いながら業務に臨んでいました。
今年は体調を崩してしまい思うように動けない時期もあったのですが、様々なリサーチに関する実践を、チャレンジ含めて行なうことができました。経験が浅くとも裁量をもってトライさせてくれる風土があってこそだと思うので、寛大かつ柔軟な2社の環境に感謝しています 🙏


2023年、やっていきたいこと 🐇

ふり返って俯瞰して見てみると、もっともっとペパボは社内で協働することでより顧客理解が深まるポテンシャルがあるなあと感じています。

例えば同じ事業会社内にCSやデータ分析チームがいて、リサーチを実践しているディレクターやデザイナーがいますが、それぞれのリソースや知見をフルに活かしあえているか?というとそうではないのかなという実情を感じます。横断的な連携・協働によって、顧客理解をもっと深められる体制がつくれるのではないかなと考えています。(文字にすると簡単なんですけどね、色々な制約があって困難なのはわかっている… 🙏

なのでいま一番の関心は、自分一人でUXリサーチやっていく!ということよりも、チームだったり、組織でUXリサーチしやすくなる環境・体制をどうつくるか?ということ、そして得られた結果を資産として横断的・長期的に活かすにはどんな仕組みをつくるか?ということです。いわゆるResearch Opsが近いかもしれません。
今はそのための、ペパボにとって理想的な座組にするにはどうしたら…?という検討のための材料集めをしている段階です。まだまだ実現は先の話になりそうですが、アンテナを張りつつ実情把握を進めていきたいところ。

ペパボは大きめな会社なのでこの辺りがより一層難しく、非常にチャレンジングだな〜〜と思います。(1年前もチャレンジング言うとりましたね

でも、少しずつ撒いていた種が成長してきているな!というのは感じます 🌱1年前よりも、着実に、進んでいる!!(自分に言い聞かせ)
2023もやっていくぞ〜 🐇


・・・ゆるめな記事を書くつもりが、やっぱり5,000字超えの重記事になってしまいました!!(早口オタクの癖


一緒にやっていきましょう🙆‍♂️

ということで、興味を持った方はぜひ採用ページも見てみてください!
カジュアルなお話も大歓迎です。TwitterのDMなどでご相談ください〜 🕊


アドベントカレンダー、明日は同期のちゃんまる!🎉


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