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私のバンド履歴書

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バンドを組んできた思い出とこれから
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2017年3月の記事一覧

男前アズマ現る~私のバンド履歴書④

 ボーカルを見つけるのは難しい。特に僕たちは友達が多いほうではないので、「ボーカルやりたい!」という人には中々出会わなかった。不思議なのだが、これは大人になってからもあまり変わらず、職場でバンドを組む時も「お前歌うか?」「いやいや」みたいなやり取りを必ずする。バンドを組むとドラムとベースから埋まる。うちの職場は高橋まことと松井常松みたいな人たちが多いのかもしれない。  それはさておき16歳の我々には一人候補者がいた…。アズマである。彼はおしゃれで、男前(僕はV6の岡田君に似

ドラム…いる?~私のバンド履歴書③

 これでギター2人とベースとなった我々は、次はボーカルかドラムだなと話し合っていた。程なくでてきた疑問が「ドラム…いる?」というものだった。その時点で、楽器を持っていたのは僕だけだったが、何となく「まっさん家で練習するんだろうな」と思っていた。となると、ドラムも置いて皆で練習とは現実的でない。  しかし、若さとはえらいもんである。勢いとは凄いもんである。まっさんはドラムも買ってしまった(皆が楽器を手に入れていく話はまた後日)。とは言っても外国人の子どもが笑顔で叩いているおも

ベースマン、ゆーき登場~私のバンド履歴書②

前回の記事 とにかく、メンバーを集めなければ…。僕たちは翌週に再度集まり、腕組みをしながら考えていた。そしてある致命的な僕らの共通点に気が付いた。「友達が少ない」。そう、少ないのである。やっぱりバンドをやる上で、テクニックどうこうよりも「気が合うか」を重視したい。人とコミュニケーションを取る上で「しんどがり」な僕らの選択肢はそうとう狭められていた。「○○は?」「えー、俺苦手」、「△△は?」「誰それ?」みたいなやり取りがしばらく続いた後、ふと、卓球部時代に友達

その日は突然やってきた~私のバンド履歴書①

高校一年の春、僕は空手部に入り桜並木をウキウキした気分で歩いていた。ポカポカとした陽気は陰鬱だった中学時代を消毒してくれているようで、何でもできる気がしていた。実際、僕が入学した高校はいわゆる「高校デビュー」という言葉を体現している生徒が多く、皆思い思いのオシャレを始めていた。  部活動が本格化する直前の日曜日、僕は小学時代からの友達、“まっさん”の家にいた。彼は高校には行かない事にしたようだった。TVゲームをしたり、よもや話をしたり…、瞬く間に時間は過ぎて行った。話が一段