男前アズマ現る~私のバンド履歴書④

 ボーカルを見つけるのは難しい。特に僕たちは友達が多いほうではないので、「ボーカルやりたい!」という人には中々出会わなかった。不思議なのだが、これは大人になってからもあまり変わらず、職場でバンドを組む時も「お前歌うか?」「いやいや」みたいなやり取りを必ずする。バンドを組むとドラムとベースから埋まる。うちの職場は高橋まことと松井常松みたいな人たちが多いのかもしれない。

 それはさておき16歳の我々には一人候補者がいた…。アズマである。彼はおしゃれで、男前(僕はV6の岡田君に似てると思っていた。…同意されたことはない)だった。歌を歌っているのは正直、聴いたことがなかった。

 ある日まっさんが「実はこの前アズマを誘てみてん」と打ち明けた。「そ、それでどうなったん!?」と聞くと「『バンドなぁ…』と言ってギターを構えてから、また『バンドなぁ…』と言って帰って行った」そうだ。「それって入ったん?」「…」。

 ある日アズマがボーカルとしてまっさんの部屋に座っていた。入ったようだった。

 (まだまだ続く)

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