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丸き物のしなじな 【よもやま話】

一、日輪、月輪。車輪。九輪。禅家には一円相。天台には円頓者。うちわにそふる袈裟の環。神には茅輪。丸四天。童女の額。鏡の餅。円座や、鞠に、盃や、さては中よき一門のまじはり。

   まろくてもなをまろかれや我が心かどのあるには物のさはるに

丸は宝の玉ぞかし。干珠満珠の二玉。下和夜光玉。面向不背玉。貝玉。牛玉。鉄砲玉。露玉。あられのしら玉。おもひの玉。真如の玉や、衣玉。大黒の持つは、如意宝珠。子共の持つは、毬杖の玉。座頭の持たぬは、まなこ玉。女の持たぬは、へのこ玉也。

参考文献:『仮名草子集』、岩波書店、1991年。斎藤徳元「尤之双紙 下」、「卅七 丸き物のしなじな」



 昔も今もかわらない丸き物もあるが、私が思う丸いものを並べてみる。

・太陽系の惑星
・ボール
・メロンボールアイス
・食べ方の正解が分からないたまごアイス
・スイカ
・プチトマト
・サクランボ
・きんかん
・交通信号
・眼球
・大腿骨頭
・眼科検診、視力が弱くて全部輪っかに見える
・アンモニャイト
・シマエナガ
・雪だるま
・テントウムシ
・ダンゴムシ
・怒ったフグ
・タイヤ
・硬貨
・花火
・水ヨーヨー
・たこ焼き
・シャボン玉
・梅の実
・クルミ
・節分の豆
・温厚な人の性格


 「女の持たぬは、へのこ玉也」。へのこ玉とは睾丸のこと。つまり、ふぐり、金玉、あるいはタマタマ。ちょっと思うところがあります。

 先日、愛猫クロくんに去勢手術を受けてもらいました。

 手術をするまでは、春が来る前に早く手術してしまわないと、と躍起になっていたのですが、いざ手術し終わってみると、なぜか本当にこれでよかったのだろうかという思いがわきました。不可逆的なことだし、なんだか悪いことをしてしまったような気がしなくはないというか。

 猫の去勢手術、猫にとってのメリットは、生殖器系の病気にかからなくなる、発情期のストレスがなくなる等。人間側のメリットは、スプレー行為(マーキング)が防げる、発情期の脱走や大きな声でなくような行動を防げる、メス猫を妊娠させない等。猫と人間、双方のメリットを天秤にかけると、人間側のほうに針は傾くように思います。


 人間のほうに目を向けてみると、遺伝性の病を避けるために、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳房を切除したと話題になったのは2013年のことです。彼女はその後、同じ理由で卵巣と卵管も切除しました。

 日本では2020年に、乳房や卵巣・卵管を予防的に切除する手術が保険適用になったそうです。
 男性の場合は、陰茎癌、精巣癌、前立腺癌等あるようですが、予防的に切除するというのは、私が見る限りでは見当たりませんでした。あと、女性に比べると罹患者数は少ないですが、男性も乳癌になることがあるそうです。

 遺伝性・家族性の癌はいろいろあります。詳しいことはわかりませんが、胃癌や大腸癌などでも、発症する前に予防的に切除する手術があるようです。なんというか、治療の選択肢が広がっているていうことなのでしょうかね。

 私自身、色覚異常の保因者なので、遺伝性・家族性のというところには興味が向きます。「誰しもみんな何かしら遺伝している」と言えるぐらい遺伝性・家族性のものが治せるようになるといいなあと思います。

クロおしり

 すっかり話がそれましたが、クロくんの、歩くたびに左右に振れていた立派なふぐりが今、干しブドウほどになっています。


りくの:「クロくん、君が初めての恋に落ちる前に、永遠に私の息子にするよ。ごめんね」

クロ:「悪いと思うなら、一生かけて償え」

 そう言ってくれたなら、むしろ気が楽なのになと思う今日このごろです。


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