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sonnyboy 最終話の感想と考察





うーん、全話通して見た感想はただひたすらに尖っていた というものだった。

エンターテインメント性より作品性にここまで偏っているのは中々にないように思う。

最終話最後のアレは結局長良に示された選択肢ということなんだろうか。


ヒナを気にして見に行ったら希がヒナを手に持っていた。

あれはヒナに関わるという選択肢と同時に間接的に希の手を取るという選択肢なんだとおもう。


しかし長良は選ばなかった。ヒナはともかく希とは漂流時約束をしていたのだから手をとるのもアリだったのに。

おそらく逡巡していた長良の前に朝風がやってきて希がそっちに駆け寄る。それを見て去る長良。しかしその顔には微笑みがあった。


元の世界では希は死んでいた。漂流先でも消えてしまった。

でもこの世界では生きている

幸せそうに笑っている。


考えてほしい。友達って「友達になりましょう」とお互いに約束しなければ成立しないのだろうか。

そうじゃない。すでに長良は希に少なくとも友情を感じているし大事に思っている。


ヒナは長良が関わらなくても希が育て、希もまた長良と関わらなくても生きて幸せになれている。

そして長良は希を友達だと思っている。もうそれだけで満足だったのではないだろうか。



それにしても結局、校長とアキ先生は一体どういう意図があったのだろうか。

最終話で長良の部屋にロビンソン・クルーソーの本が置いてあった。それが何故か印象に残った。


長良が微笑んだ最後のところで、「ああ、これは少年の成長を描いた物語だったんだな」と改めて思った時、とっさに何故かロビンソン・クルーソーからピーターパンを連想した。


 考えてみるとピーターパンもサニーボーイと似た夢の世界にいく大人にならない話だ。

すると校長はピーターパンでもしかしてアキ先生はウェンディの役割だったのだろうか。


ピーターパンは何故夢の世界から出ていくのか理解できなかった

校長は「ここから出てはいけないよ」と言っていた。

ウェンディは子供たちのまとめ役だった。

アキ先生は軍隊的にだが生徒たちをまとめていた。



ピーターパンという発想はもしかしたら当たっているかもしれない。

でもそれはあまりにも悪意と醜悪な解釈のパロディのピーターパンだ。



最後に長良と朝風について。

自分は長良と朝風が対になってるとはあまり意識していなかった。

どちらかと言うと主人公に対する引き立て役としか見ていなかった。


だけど最後の場面を見てようやく対になってると気づいた。

イケメンの朝風と冴えない長良

その朝風は漂流世界に残りたがり長良は現実世界に帰ることを望んだ。

普通は長良的なキャラのほうが力を求める事がよくあるのに。


それは朝風が力の信奉者であって長良がそうではなくなっていたからだ。


しかし現実に帰ってきてみれば皮肉にもこちらの世界の朝風は希とうまくやっていた。

(特に朝風に対してはかなりの皮肉だ)

どちらが正しかったか?おそらく答えはない。

しかし長良の最後の表情が全てを語っている。


絶対の正解はないが自分が選びたい道を自分の意志で選んだ人間の表情だ。

これは正しく少年の成長物語だった。

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追記


上記のままだと長良が希を諦めたかのようにも見えるので、追記を。

サニーボーイは所々で現実の醜さなどシビアな部分を色々と描いていた。

それは「現実が醜いから、ままならないから諦めよう」ではなく、先が見えないからこそ自分の意志が大切だという主張に自分には見えた。


何故かというと主人公の長良と朝風の違いからもなんとなくわかる。

長良と朝風は一体何が違うのか、と考えるとまず見た目。

そして付与された能力がパッと思い浮かぶ。

その二つは一体どうやって手にいれたかと言うと運、としか言いようがない。


長良と朝風の能力が逆だったら立場が逆転していてもおかしくないと思う。

そうはならなかった長良でも現実に戻ったら冴えない毎日でなんとなく意気消沈ぎみに見える。


でもどちらの立場になってもどちらの選択だったとしても良い事だらけなんて絶対にありえない

そんなものは漂流世界にすらなかった。

だが唯一確定していないものがある。

それは未来だ。

少なくとも現実世界には停滞していない未来がある。

最後の長良の笑みは希の幸せを喜ぶと同時にこれから希との約束通り

友人になれるかもしれないという可能性を喜んでもいるんだと思う。


だって希は生きているのだから。


さらに追記


希のNTRについて(笑)


ネット上で希のNTRがおそらく半分ネタで言われているんだと思うのだが

そう言われてみればそう見えもするかな…?くらいにしか思わなかった。


何故かと言うと希は自分の中では「真の陽キャ」で確定しているからだ。

みんなも一人や二人こういうキャラの人にあったことないだろうか。

誰相手でも普段と変わりなく対応するキャラ。

要するに自分というものをしっかり持っているから人におもねらないんだと思う。


朝風にも長良にも瑞穂にも友人の骨折していた子にもわけへだてなく、接していたようみえた。


希が長良と行動をよく共にしていたのはおそらく現実世界に帰るという同志だったからだと思う。


希のような自分の意志をつらぬく強い子は、また孤立しやすい面も持ち合わせているんだろう。

だからこそ数少ない同志を見つけたら嬉しくなり親しくしてしまう。


最後の場面もそうだったんじゃないだろうか。


希が朝風にヒナの事を雑談でこぼす。それを聞いた朝風は偶然を装いヒナを助けた場面に登場。

それを見た希は朝風も自分と同じでヒナを助けることに賛同したと勘違い。

同志認定で嬉しくなり思わず駆け寄る。

なんとなくこんな場面が思い浮かぶ。


だって現実世界でつきあえるなら、それ以前の漂流世界で

とっくに告白してるでしょ(笑)

朝風にはまだ無理。だから長良は十分勝機があると自分はおもう。


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