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ウイルスの起源の問題が急展開!中国が3年経って武漢市場の遺伝子情報を公開

2023年3月はじめ、フランスやアメリカなどの研究者は、中国CDCが2020年1月、武漢の湖北海鮮市場を閉鎖した際に市場の環境から採取したウイルス検体の生の遺伝子情報が、国際的なウイルスの遺伝子情報共有データベース「GISAID(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data)」に公開されていることに気づいた。

GISAIDは2006年、世界の科学者が、インフルエンザウイルスがパンデミックにつながる変異を起こしていないかを監視することを目的に作られた非営利団体だ。パンデミック以降、コロナウイルスの遺伝子情報もシェアできるようになっていた。

研究者たちは、GISAIDからこの遺伝子データをダウンロードし、解析を行った。

すると、市場で採取された検体の中には、新型コロナに感染することの分かっていた野生のタヌキのほか、マレーヤマアラシ、アムールハリネズミ、ハクビシンの新型コロナウイルスが含まれており、ヒトの新型コロナウイルスの量よりもずっと多かった。

ウイルスは宿主の遺伝子を利用して増殖する。だから、そのウイルスがどんな動物に由来するものであるのかは遺伝子を見れば判る。

研究者たちは、これらの野生動物に感染した新型コロナウイルスの遺伝子配列をほぼ完全な形(99%以上)で再現することにも成功した。

中国が知っていて黙っていたこと

すると、これらの動物由来のウイルスの遺伝子配列は、いわゆる「武漢株」と呼ばれるヒトで確認された最初の新型コロナウイルスの遺伝子配列と99%以上一致し、野生動物からヒトへのスピルオーバーを起こした「始原ウイルス」としての条件を満たしていることが分った

つまり、これは、生きたまま売買されていたこれら野生動物のいずれかが中間宿主となり、市場でスピルオーバーが起きたことを強く示唆していた。

しかし、

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