承認はされたけど…日本の国産コロナワクチン開発戦争敗戦
8月2日、第一三共が開発した新型コロナウイルスのワクチン(商品名「ダイナロチ」)が承認されました。ついに国産ワクチン完成ですが、まるで盛り上がっていません。第一三共はこのワクチンを出荷しないそうです。
9月からのことし2回目の接種・追加接種では、XBBという日本でも世界でもかれこれ半年以上流行している変異株に対応した海外のmRNAワクチンを使用することが決まっているからです。
第一三共のワクチンもmRNAの新テクノロジーをつかった、日本初のワクチンです。しかし、いわゆる武漢株にしか対応していないのです。第一三共は、XBB対応ワクチンの年内開発を目指すとしています。
NHKによれば、日本の新型コロナワクチン開発が迅速に進まなかった理由として、2021年に政府がまとめた報告書では、
▽研究機関の機能や人材、産学連携の不足
▽戦略的な研究費配分の不足
▽最終段階の臨床試験(第3相試験)を行う難しさ
などを挙げているそうです。
しかし、アメリカやイギリス、中国やロシアのような大国だけでなく、キューバやイラン、台湾、インドなども国産のワクチンを開発し、国民に接種しています。これらの国では、機材や研究費は日本より潤沢ではないでしょうし、第3相試験が難しいのは日本と同じでしょう。
日本はなぜ新型コロナワクチンのタイムリーな開発に失敗したのでしょうか。ワクチン開発に成功した国には何があって、日本には何がなかったのか。
詳しくは、『パンデミックを終わりにするための 新しい自由論』の第3章「日本産ワクチンはなぜできなかったのか」、第4章「世界のワクチン開発競争」、第6章「開発競争での敗戦が意味するもの」をお読みいただきたいですが、今日のnoteでは、本では書かなかった小国の新型コロナワクチン開発成功例として、キューバと台湾、イランの状況について補足します。
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