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岐路に立つ日本のワクチン業界ーカナダ政府が日本の新型コロナワクチンに出資

10月26日、カナダ政府は、田辺三菱の子会社メディカゴが開発中の新型コロナワクチンに1億7300万カナダドル(約137億円)を出資し、最大で7600万回分のワクチン供給もする契約を結んだと報じられました。メディカゴとはどんな企業なのか。なぜ日本の製薬会社の新型コロナワクチンに、日本政府ではなくカナダ政府が出資したのか。英米のワクチンを買う約束をした日本政府は田辺からワクチンを買わないのか?
ぜひ「日本ではなぜいつもワクチンが足りないという話になるのか」「海外投資家の食指が動かない 日本のワクチン」から続けてマガジンでどうぞ。

2017年11月発表の経済産業省の資料によれば、アメリカ発の新薬の8割以上がバイオベンチャーで開発されたものである。

しかし、世界の機会投資家からの日本のバイオベンチャーへの関心は薄く、時価総額は欧米はおろかアジア諸国にも劣っている。2014年から2017年の各国のバイオメディカル産業の時価総額を比較すると、アメリカが総額60兆円なのに対し、日本はわずか1.1兆円。中国の9.8兆円、韓国の7.0兆円と比較しても格段に小さい。しかも、2014年から直近3年の伸び率に至っては、中国が217%、韓国が507%なのに対し日本は41%と停滞している。日本のベンチャーには資金調達に苦労して開発を中止、延期するものも多いという。

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