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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

岐路に立つ日本のワクチン業界ーカナダ政府が日本の新型コロナワクチンに出資

10月26日、カナダ政府は、田辺三菱の子会社メディカゴが開発中の新型コロナワクチンに1億7300万カナダドル(約137億円)を出資し、最大で7600万回分のワクチン供給もする契約を結んだと報じられました。メディカゴとはどんな企業なのか。なぜ日本の製薬会社の新型コロナワクチンに、日本政府ではなくカナダ政府が出資したのか。英米のワクチンを買う約束をした日本政府は田辺からワクチンを買わないのか? ぜひ「日本ではなぜいつもワクチンが足りないという話になるのか」「海外投資家の食指が動か

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東欧の新型コロナ「第1波」から考える日本の次の波

日本ではあまり報じられていないが、西ヨーロッパが新型コロナの第2波に見舞われるなか、東欧が新型コロナの第1波に見舞われている。 わたしが暮らすドイツは、EUの新型コロナ対策優等生として知られている。ロックダウンの解除以降も新規感染者は1000人代で推移。再流行の懸念された夏休みが終わっても急増することはなかった。ところが、10月1日に 1900人になった新規感染者数は、10月24日には14715人に。ここへ来てドイツでも、実に夏場の10倍のスピードで感染が拡大し始めた。

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海外投資家の食指が動かない 日本のワクチン

私の新刊『新型コロナワクチンから日本の弱点 国防としての感染症』の「幻の第6章」をお届けする連載「新型コロナと日本産ワクチンの憂鬱」の第2回目です。前回記事「日本ではなぜいつもワクチンが足りないという話になるのか」から続けてどうぞ。 2016年10月、厚生労働省の「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」は、「ワクチンは国産が原則」という従来の考えを覆し、「ワクチンは国家安全保障と公衆衛生の根幹にかかわるものであるから、国内ワクチンメーカーは、これまでの護送船団方式から脱却し

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日本の戦略をアレンジしたドイツの新PCR戦略

ドイツで新型コロナの感染者が急増している。 ロックダウン解除以降も1000人前後で推移していた新規感染者は夏休みが終わっても急増することはなかったが、10月はじめには2000人ほどになったところで、メルケル首相が「指数関数的に増えていく可能性がある」と警告を出すのを聞いたのも束の間、10月17日現在で7830人となった。 新規感染者の多くは、無症状もしくは軽症の若者だ。パンデミックの始まった当初から急ピッチでPCR検査体制を整えたドイツは、週150万件超という驚異的なPC

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日本ではなぜいつもワクチンが足りないという話になるのか

新型コロナとインフルエンザの同時流行も懸念される中、インフルエンザワクチンのへの需要増大を見込んで日本政府は今年、65歳以上の高齢者を優先的に接種するよう異例の要請を出しました。 今年は、結核のワクチンであるBCGワクチンの供給不足も懸念されました。BCGには新型コロナも予防する効果があるとの仮説に飛びつく大人が殺到したためです。4月6日には、厚生労働省が「BCGワクチンは、乳児の定期接種のために製造されており、メーカーが出荷できる量は出生数と同程度で、余剰はありません」と

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「風邪コロナの免疫は、新型コロナを防ぐのか?」という問いへの答え

「風邪のコロナに対する免疫は、新型コロナを防ぐのか?」「もしそうであれば、風邪をひいた経験の多い高齢者でなぜ重症化するのか?」先日、この重要な問いに対する答えとなる重要なデータが、ドイツから出ました。まだプレプリント(まだ査読を通って論文として正式に掲載されてはいないもの)ですが、世界初の風邪のコロナウイルスと新型コロナウイルスの交差免疫を詳細に検討した論文です。先日、SARSの発見者の1人でドイツやEUの新型コロナ対策の責任者を務めるウイルス学者、クリスティアン・ドロステン

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ノーベル平和賞候補になったというWHO

昨日、これまで一度も取材を受けたことのない大きな新聞から、「WHOがノーベル平和賞になっているので、もし受賞したら識者としてコメント取材をしたい」と連絡をもらった。 WHOがノーベル平和賞候補にあがっているというのは初耳だった。 毎年のように「ノーベル賞候補」とメディアに書かれ、2018年についに本当にノーベル医学生理学賞を受賞した本庶先生からも、ノーベル賞は候補に上がっていることを本人にすらはっきり知らせることはないと、受賞以前から聞いていた。 それなのに、なぜこの新

トランプ大統領、新型コロナ治療チーム記者会見の抄訳と解説(10月4日分)

トランプ大統領の主治医であるショーン・コンリー氏の率いる、ウォルター・リード米軍医療センター医療チームの記者会見の抄訳と解説です。 【10月6日 退院までの流れを追記しました。】

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24時間監視カメラ付、新型コロナなら「軽症でも入院」を検証する

「当然、自宅での隔離だと思っていました。ひとり暮らしで家族にうつす心配もありませんし、熱も下がっていたので」 新型コロナに感染し、都内の病院に入院したという40代の会社員男性はこう話す。男性の症状は、軽い咳と熱だけ。新型コロナの典型的な軽症例だ。 しかし、男性の住む地域では「感染者は全員医療施設に入院」というのが区の方針である。入院する頃には病室内で「筋トレができるほど」にまでに回復していたというが、都内の医療施設にある、監視カメラ付きの病室に入院することになったのだとい

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トランプ大統領の新型コロナ感染と米リジェネロン社

【10月4日、トランプ大統領の主治医の記者会見について追記しました。】 10月2日、米トランプ大統領は自らが新型コロナに感染したことをツイッターで発表した。 トランプ大統領は「親指がスマホから離れることがない」と言われるほどのツイッター好きとして知られている。筆者もトランプ大統領のツイッターをフォローしているが、日本を含むニュースメディアも同ツイッター投稿に言及しながら入院を速報し、インターネット空間は瞬く間に騒然となった。

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ドイツの医療関係者は「反インフルエンザワクチン」という衝撃

日本では、子宮頸がんワクチンで圧倒的に激しい反ワクチン運動ですが、ドイツでもっとも警戒されているワクチンは、わたしが先日接種した、インフルエンザのワクチンです。 意外に思われませんか? 他の欧米諸国と同様、ドイツでも、自然派ママ、シュタイナー信奉者やホメオパシー信奉者の間で麻疹ワクチンの接種を拒否する動きは激しく、ここ数年、ワクチン接種率の低い地域や学校(高級住宅街やシュタイナー学校)を中心に麻疹の流行が報告されるようになっています。 そのため今年の春からはワクチン接種

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