博士!1/1の定義を教えてください!

年の頭なので暦の話でも。
最近ふと思ったのだが、1月1日は何を以て1月1日と決まったのだろうか。
現在使われている暦の背景にあるのは地球の公転運動であるが、日付の割り振りは人間によって作為的に行われた結果のため、何かしらの経緯によって1月1日が今の1月1日として決まったはずである。
個人的には年の初めを祝うにはいささか寒いので、もう少し暖かい時期を1月1日とした方がめでたいのではないかと思ったりもする。

この疑問に対する答えは存外あっさりと見つかった。

https://www.nao.ac.jp/faq/a0307.html


歴史的経緯からして、
・ユリウス暦という今使われている暦の前身の暦が定められる。
・宗教上の理由を加味し、ユリウス暦の中で3/21を春分の日と定義することが決まる
・グレゴリオ暦(太陽暦)という現在用いられている暦への変更が行われる
・その際に上述の「3/21を春分の日」とする定義を引き継ぐことが決まる。
・3/21が決まったことで自動的に他の日付が定義される。

このような流れで現在の1月1日が決まったようである。
考えてみれば春分の日や秋分の日を基準にするのはかなり自然であり、そのどちらかと特定の日付をセットにしてしまうような決め方が分かりやすいのは明らかである。


ここまで書いてちょっと面白いなと感じたのは、人間が時間の刻み方をコントロールしているということ。
人間が直感的に測定できるのは「1日」という時間単位である。日が昇り、日が沈んでからまた日が昇るまでを1セットとしたものだ。この基準を基に、小さいスケールでは1時間/1分/1秒という単位が、大きいスケールでは1週間/1か月/1年という単位が生まれた(注)。
人間は時間の流れを制御できないが、単位を設定することで時間の流れを定量的に観測できるようになった。定量的に観測できることによって、その値を基準とした活動ができるようになったと考えられるのではないか。例えば日替わり/週替わり/月替わりのイベントや毎月/毎年恒例の行事などである。これらの成立のためには、時間の概念を明確に区切れる(やるタイミングとやらないタイミングを明示的に説明できる)ことが前提として存在している。なぜ火曜日には月曜の日替わり定食が出てこないのかであるとか、なぜ7月に初売りをしないのかであるとかは週や月の概念を理解していれば共通認識として理由を共有できるはずである。
刻み方をコントロールすることで人間は自身の活動の幅を広げられたのではないか、と考えられる。

年の頭からやたらと理屈っぽい話をしてしまった。
しかも1月1日である必要もない結論だし。全くもって季節感のない記事である。
今年も季節や流行とは特に関係なく記事を書いていくのだろうなあ。
今年は執筆頻度を上げたいという意思表明を新年の抱負ということにして、無理やり元日につなげる形で筆を置く。今年もよろしくお願いします。


(注)厳密に言うと1か月は月の満ち欠けをベースにした概念であり、1年の定義は太陽暦か太陰暦かによって「1日」を拡張したスケールになるのかが変わってくるが、分かりやすさを重視した記載にしているとご理解いただきたい。
ちなみに各基準単位の定義についての正確な説明は以下を参照してほしい。

https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/CDD7C1C72F1C7AFA4C8A4CFA1A9.html

https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/CDD7C1C72F1A4ABB7EEA4C8A4CFA1A9.html


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