モルドバ共和国についての悪口

 普段は、日記という形でつらつら書いていますが今日はモルドバについての悪口をここで思いっきり吐き出して行きたいと思います。

 私が初めてこの地に足を踏み入れたのは去年の10月の末、フィアンセと一緒に踏みしめる東ヨーロッパの土地と、彼の家族に初めて会うドキドキ、姑さんになろう彼の母とうまくやらなければ、という少しの不安等々で私はモルドバという国を好きになろう好きになろうといわば色眼鏡をかけて参上いたしました。気温は低く、雪にならないギリギリの雨にうたれながらもモルドバは良いところだ、何も娯楽はないがなんでも近くて便利だ、ご飯が美味しい、などと自分をどうにかこうにか言い聞かせていました。

 姑は良い人ですが、いつもこの家族は夫から夫の姉から姑から隣人から誰でもいつでもいつまでいくら貸してくれ、明後日には、金曜日には返すから、という文言が毎日のように飛び交っており、私は精神的に参っていました。毎日のように泣いていました。私には理解のできない状況なのです。嫁ぎ先で毎日のようにいくらあるか、金曜日までいくら貸してくれないか、などと姉から姑から聞かれるのです。夫でさえ申し訳なさそうに聞くのです。夫が聞くのはいいです。ちゃんと返してくれるし、信頼しているし、本当に金がないのを承知で一緒にきましたから。でも、姑や姉は言ってしまえば、「誰やねんこいつら。」です。というか息子、弟の嫁に金貸してくれと頼むなんて人間としての尊厳や誇りは持っているのでしょうか。

 なぜ、人々は食糧、光熱費などといった生活をするうえで最低限のお金さえまかなえていないのか、なぜ、隣人は借りたお金で酒を買いタバコを買い、酔っ払って仕事に行ってクビになって帰ってくるのか、なぜ、その息子は仕事もしないで酒以上の法に触れる嗜好品をたしなんでいるのか、そしてなぜお金を持っていそうな人にすがってくるのか、なぜ姉の夫は職につかないで姉がもはや破産している事業を回し、その息子を私や私の夫が食わせなきゃならないのか、私は理解ができませんでした。今も理解できていませんが。

 甥ははっきり言って追い出しました。無理でした。金銭的にも精神的にも無理でした。ただでさえ狭い家なのに私の視界で1日中パソコンのゲームをしているし、言動がなぜか上から目線だったからです。我々がこさえた飯を当たり前のように半分食べます。その残りを私、夫、姑の3人で分ける生活が続いたのです。食べ盛りなのはわかります。でももう直ぐ17歳です。自分の立場をわかっても良い時期だと思います。将来のためになんの準備もしていません。そして甥は、自分のお母さん(夫の姉)の家に戻りました。しばらくすると姉の夫がその家から追い出されました。もともとその家が姉の夫の家でしたが、働かないで飲んでばかりいるので姉が追い出しました。その点については姉はよくやったと思います。

 それでも私は、この家族だけがおかしいんだと、モルドバは良い国だ、食べ物も安いし、冬は寒すぎるけど夏がくればきっと清しく過ごしやすいはずだ、と。モルドバの人は優しい、と、そう言い聞かせていました。

 夏が来ました。ジプシーと思われる人とスーパーでもめました。彼の手口は巧妙でした。レジでものすごく時間をかけて人をイラつかせて問題を起こさせて大きくさせて店からタバコや何かを咽びとっていきます。私は正義感からまんまと挑発に乗ってしまったのです。公園でもベンチに座っていると1日4人も物乞いが「お恵みを。」と言ってきます。お恵みをも何も彼らはお恵みたちを彼らのキングに渡してキングは豪邸に住むのです。(これはあくまでも風の噂の範囲ですが、、、)彼らは、嘘の書類をちらつかせ、自分たちには障がいがあることをアピールします。障がいがあるにしろないにしろどちらにしろ、私は彼らは働けると思います。もし仮に手足がなくったって何かできる仕事があるはずです。だって世の中にはたくさんのハンディキャップを持った人たちが活躍しているのですから。また、そのお恵みで酒やタバコ、薬物を買うという情報もあるくらいなのです。つまるところ私の清々しくなると期待していたモルドバの夏はこのたち入れ替わる物乞いの集団によってまず玉砕されたのであります。

 次の玉砕は、痴漢に会いました。横断歩道で待っていたらちんちくりんのアル中のおっさんに後ろからズボンの中ではありましたが硬くなった局部を私の臀部に押し付けられました。近くに待機していた警察に話して現場まで来てもらいましたがそのちんちくりんはもうおらず、警察官も、まあ、よくあることだし、怪我したわけでもないし、よく見張っておくね〜くらいでのんびりしていて結構ではございますが、夫以外の男に触られるだけでも気持ちが悪いのに、そんなアル中のちんちくりんになめた真似をされてとんだ屈辱を味わったのでございます。

 そして最後の玉砕は、今、居住許可を、ビザですね、申請している途中の段階なのですが、今日まさにこの国はおかしいと、もはや国ではないということに思い至ったのであります。というのも、私たちが必要な書類を出したのは1ヶ月前。そのときに税金に当たるもの指定されたもの全て払いました。私はトルコに5年間いたことがあるので、滞在許可証のようなものを発行するのはモルドバが初めてではございません。ドイツでも企業を介してですが労働許可証を取得した経験もあります。そのような経験からの感覚でいうと、必要な書類を揃えて提出して1ヶ月後に来てくださいと言われたら、その1ヶ月後の日にもう必要な査証ができているはずなのです。もう写真も渡してあるのですから。ですが今日行きましたところ、変な機械で写真を再び撮られ、指紋を取らされ変な機械に署名を書かされ(しかも時間が短くて書ききれず一悶着)そしてどれにしますか?と金額票を見せられたのである。30日なら350レイ、15日なら700レイ、7日なら、、、、と。この作業を何故今日やるのかと。何故1ヶ月前にやらないのかと。そして何故1ヶ月前にこのことについて知らせなかったのかと、わけがわからなくて本当に頭に来たのであります。

 対応する女性陣も元ソビエトの国とは思えないほどのブサイク揃いで、オフィスもごちゃごちゃしているし、人をバカにしたような対応の仕方も感じ悪いのであります。悔し涙が出るほどです。

 翻って、私はルーマニアの領事館にも本日行って参りました。夫はルーマニアのパスポートも持っているのであります。なので、結婚したことを報告しなければいけないのかな、と思い本日伺ったのであります。もとより家系にルーマニア人がいたらルーマニアのパスポートをモルドバの人に発行することはルーマニア政府はしていたようですが、もっと厳しくて7年かかったりしていたそうなのですが、近年、ルーマニアがモルドバ国民に書類をお金を払えば割と簡単にルーマニアのパスポートを発行しているのであります。というのも、今のルーマニアの大統領を指示している人の大半はそのルーマニアパスポートを与えたモルドバ人ということらしく、それは大統領からしてみればモルドバ人がルーマニアにパスポートを提げてくることは大歓迎なのであります。(ほとんどはそれを提げてルーマニアよりもっと賃金の良い西へ西へと向かってしまうのですが。)モルドバ人からすれば、EUであるルーマニアのパスポートがあればEU圏(一部、スイスやアイルランドなど認めていない国もあるようですが)で働けるので双方にメリットがあるのであります。

 結果は、別にしなかったらしなかったで何も特に影響はないようなのですが、ルーマニアに夫婦共々住みたいとなるのであればルーマニアでの婚姻証明書を発行しておく必要がある、とのことでした。それよりも私が声を大にして言いたいのは、ルーマニアの領事館はまず、インフォメーションの女性が、かわいい、親切。ルーマニア語がわからない私をわざわざデスクまで案内してくれる丁寧ぶり。デスクに待っていた女性も、英語でのやりとりは苦手のようでしたが、彼女はロシア語もできたのでひとまず私の知りたいことは汲み取ってもらえました。まず、ルーマニア語を話せないからといって門前払いにせず、このアジア人が何を言っているのかを理解しようと勤め、何かベストな方法を探るという姿勢に、モルドバの移民局とのギャップも相まってかなり好印象を受けました。しかもその女性は妊婦さんで、自分が大変なホルモンバランスにあるだろうにも関わらず声を荒げることもなく私にゆっくりとしっかり説明してくれたのでありました。

 なぜ、ルーマニアの領事館がこんなに丁寧な対応をしているのか、それはそうです、彼らは自分たちの置かれている立場をわきまえてそうしているのです。若くて優秀な人材は皆EUの西に行ってしまい、彼らは人手不足なのであります。彼らは彼らの人口が増え、なおかつ大統領の支持率も獲得できるのであればモルドバの人がルーマニアに来ることを歓迎せざるをえません。だからわざわざモルドバのキシナウ市に大きなオフィスを構えてたくさんのルーマニアパスポートが欲しいモルドバ人のお手伝いをしているのです。

 翻ってモルドバ移民局のしていることはどうでしょう。ろくに相手の質問に答えず、冷たい対応をし、(ちゃんと対応してくれる女性もいますが)1ヶ月またせてフラストレーションを溜めさせて再び金を払うように言う。それも日数に応じて、そりゃあ査証ができると思ってこちとらきているわけですから高い金払ってでも今日明日中に欲しい人はいるでしょう。みなさん私のように主婦の方ばかりではないので、仕事もありますでしょうし、海外にいかなければいけない用事のある人もいるでしょう。なんともやり方が汚いのです。

 この人たちは、モルドバ政府は、自分の立場がわかっているのでしょうか、それとも政府に都合の良い人間以外はいらないのでしょうか?貧困に喘ぐ国民のことを思えば、農業意外に何もないのですから、せめて美しい自然などを売りに観光業に力を入れたり、移民を歓迎すべきなのであると思うのは私だけでしょうか?物価が安いので、老後の生活先に選ぶ西欧諸国の人々もいると思いますし、または何か地元の人を雇用してビジネスを展開したい外国籍の方もいると思います。前述したようにも若い優秀なモルドバの若者はルーマニアのパスポートを一提げて西欧諸国に流れ出てしまったわけですから、モルドバだって労働力が不足しているはずです。人口だって減ってます。私みたいに嫁いでくる人を大事に扱っていれば子供も生みますし、生活のためにモルドバにお金を落とすわけですから何も査証の申請時にぼったくらなくても移民はそっとしておけばモルドバにとっても得な存在になるはずなのです。だって、そもそもモルドバに出稼ぎにやってくる人は少ないのですから、現地の人の失業も心配する必要がないと思いますし、一体何を持って移民局が威張り腐っているのか全くわからなのであります。

 トルコでビザを申請していた時、決して楽ではありませんでしたが、こんなに嫌な思いをしたことはありませんでした。少し面倒なこともありましたが、今日のことに比べたら屁の河童でした。トルコは銀行も綺麗でしたし、何より人情味がありました。そりゃあめちゃくちゃなロジックの人もいましたが、役所で働く人はみんなエリート、という感じで少し適当なところもまたいいところのうちでした。

 モルドバに来てから、夫と一緒にいれることはとても幸せですが、夫にもれなく付いてきた付属のもろもろに少し辛くなる時もあります。それでも、来年はきっとよくなるから、という夫の言葉を信じてとりあえずは今年を乗り切っていきたいと思っているのであります。何はともあれ私はモルドバ共和国が、ルーマニアになるか、ロシアになるか、どちらでもいいのですがもっと大きくてしっかりした組織に吸収されてしまうか、国民全員が他の国に流出して欲しいと思うのであります。だって、どう考えてもこの国での子育てはおすすめできないのです。私にも子供ができるかどうかはまだまだわかりませんが、全ての子供達が、アル中の親から引き離されて過ごしたり、公園で男性が女性に暴力をふるっているところに出くわしたりしないような環境で育っていって欲しいとそう願わざるを得ません。

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