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せいかい

正解がわからない。知人から聞いた話だ。

ある上司が会社のホームページに載せるコメントを書いて欲しい、と若い社員に頼んだら、「いくらもらえるんですか」と聞いてきたという。上司は依頼を取り下げた。そして、わたしの知人に「頼めるかな?」と聞いてきた。知人もその会社の社員である。「いいですよ」と二つ返事で請負ったら、「助かるよ!」と感謝された。

若い社員はどういうつもりで「いくらもらえるんですか」と聞いたのだろう。外注するつもりだと勘違いして、予算はいくらですか?という意味だったのかもしれない。それとも自分の業務の範囲外なので、お給料に上乗せしてもらいます、という意思表示だったのか?どちらにせよ、コミュニケーションがうまくいってないことは確かのようだ。

さて。わたしには、上司(社員なんだからやって当たり前だろうと考えた)が正しいのか、若い社員の方が正当なのか、わからない。

上司の頼み方も悪かったのかもしれない。「会社の大事な仕事を君に命ず」という姿勢だったら良かったのかも。

部下は部下で、お金が欲しかったのではなく、断る口実としてそう言った可能性がある。もし「今の業務が手一杯で、それは無理です」と言えば、上司も驚かずに次の手が打てたかもしれない。その業務が終わってからでいいよ、とか、では別の人に頼もう、とか。

本屋に行くとハウツー本がたくさん並んでいる。相手にイエスと言わせる方法とか、自分を守るための会話術とか。スマホでちょっと検索すると、仕事の断り方とかのライフハックもザクザク出てくる。ああいうのを実際に活用している人がどれくらいいて、どれくらいのハウツーが社会的な常識として受け入れられているのだろうか。上司に面倒くさい仕事を頼まれたらこう断れ、とか、そんなテクニックが書かれているのだろうか。

思えば、会社員だった時期からもうずいぶん時間が経ってしまって、今、何が常識で、どんな要求が正当なことか、よくわからない。ブラックカンパニーで泣き寝入りをしている労働者のことを考えると、主張ははっきりとした方がいいのだろうと思う。でも、会社の上司に頼まれた仕事に対して、「いくらもらえますか」は、なんとなくピンとこない。

誰か正解を教えてくれる人はいませんか。


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