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おみくじ

高畑勲展に行ってきた。入口で音声ガイダンスはどうですかと言われ、550円を払って中川大志の声を聴きながら展覧会を見ることにした。

美術展の音声ガイダンスって、人気の俳優を起用することで、利用率が上がるのだろうか。原稿を読む前に、ちゃんと展示作品を見ているのだろうか。ともあれ、展示の説明文を読むのにものすごく時間がかかるわたしには、便利で助かるサービスだ。

ガイダンスがあると、ひとつひとつ丁寧に見ることができる。オットはさっさと先に行ってしまった。ムスメはじっくりじっくりと見ながら進む。
説明文、原画、セル画、絵コンテ、背景画、手書きの台本、書簡、企画書、メモ、そしてダイジェスト版のアニメ、インタビュー動画。とにかく見るものが多い。

ムスメが小さい頃に繰り返し見た『パンダコパンダ』シリーズは、『長くつ下のピッピ』が下敷きになっていたとは知らなかった。それでミミコちゃんはパパとママがいなくて、三つ編みなのね。

展示されている作品を見ると、「ただ見ていただけ」のわたしにも、ひとつひとつにたくさんの思い出が詰まっていて、そのアニメごとに関係のある人たちの顔を思い出す。すごく深いところで随分と記憶に刻まれている。アルプスの少女ハイジや母を訪ねて三千里で涙しながらテレビを見ていた小さい頃のわたしも思い出す。

『パンダコパンダ』を見ていたら、一旦最後まで行ったであろうオットが戻ってきた。「まだここか」と言い捨てて、先に行ってしまった。

『平成狸合戦ぽんぽこ』のあたりで、わたしとムスメにも差ができてしまった。ムスメはひとつずつの絵をじっくり見ている。

ムスメは2時間半かけて全部見終わった。ほとんど一緒に回ったわたしは足が棒になった。オットはすでに物販コーナーも抜けて、どこかで休憩しているようだ。わたしは物販コーナーで、何を買おうかとグルグル見ていた。かわいい物がいっぱいで、欲しいものもいっぱい。しかし、ムスメが来るまでじっと我慢していた。

やっとムスメが出てきたときには、美術館は閉館のアナウンスを流し、物販のコーナーでは、もうレジを締めているところだった。あまり考えさせるといつまでも時間がかかるので、「これどう?」と勧めて買ったのが、「ぱんだみくじ」だ。陶器のパンダパパの足元に穴が開いていて、そこにおみくじが収まっている。「じゃあ、これ」とムスメが選んだおみくじは「小吉」だった。「たけのこご飯を食べると健康になるでしょう」と書いてあった。




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