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あのよ

好きな有名人や身近な人がこの世を去った時の喪失感は、何年も何年もつきまとう。それがやがて「あちらで元気にしてるかな」と思うようになる。不思議だ。

死ぬと終わり。もう自分の意思で動くことはない。「物体」でしかないし、それもいずれは朽ちて存在そのものがなくなる。それが自然だ。でも、生きているわたしが「あちら」を感じる不思議。

小学生の頃、幼馴染のゆうちゃんが「この世とあの世の間には三途の川があって、向こう岸に渡ると死ぬらしい」と教えてくれた。そう。あの「河童に誘われても相撲をとったらいけんよ」と忠告してくれたゆうちゃんだ。「川に引き込まれたらシリコダマを抜かれるけ、キュウリを食べさせよるうちに逃げるんよ」とアドバイスもくれた。ゆうちゃんは死後の世界にも詳しかった。「河原で石を積み上げる子どもがおるんよ。その石を鬼が来て蹴るらしい」こわい。鬼がおるのか。

「向こう岸にはすごくキレイなお花畑があって、遠くからオイデオイデしよる白い着物を着た人がおるんよ。その人に呼ばれてついて行ったら、完全に死ぬんよ」その人の方に行かなかったら?「死なない。でも、こっちの世界で、体が焼かれてしまっとったら、もう戻るところもないけ、成仏できんで、幽霊になってウロウロするしかない」なんと。そんな恐ろしいことを。

まだ死にたくないな、と思うのは、死んだら本当に会いたい人に会える、という保証がないからだ。今のわたしが確実に言えるのは、死んだらこの世とお別れすることになる、ということだけだ。毎日を大事に過ごそうと思う。



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