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なんだか面白い顔きのこ

文章教室の子どもたちが、「きのこの山とたけのこの里、どっちがいいか」という話で盛り上がっていた。

わたしはといえば、たけのこ派なのだが、子どもたちはきのこ派が多かった。わたしはあのクラッカー部分が苦手だ。まず、歯ざわり。硬くてツルツル滑る感じが、プラスチックみたいだし、チョコ部分とクラッカー部分がくっついているけれど、すぐにキレイに別れて「性格の不一致」とか「お互いの幸せを話し合って」とか言い出しそうな感じが好きじゃない。

たけのこの里は、クッキー部分のサクッとしたところと、チョコレートが渾然一体となる感じが好き。棺桶に入るまで添い遂げます、みたいなノロケっぷりで、本当に口の中でお互いが離れることなく溶けていく。

一方、きのこ擁護派は「あの、カリカリっとしたクラッカー部分が、全体を甘すぎず理性的に保っているところがいいんじゃないの」と言い、アンチたけのこ派の意見は「ベタベタしすぎじゃないの?それになんだか口に入れる直前にふわっと香るプラスチックみたいな匂いがイヤ」ということらしい。

同じなのだ。お互いが、同じポイントを好き嫌いしている。つまり、好きになればそれが長所だし、嫌ってしまったらそれが短所になる。

それにしても子どもたちは、同じことを繰り返し言いながら、どちらが良いのかをアピールしまくっている。しかしついに、「だってこっちの方がおいしいじゃん!」と誰かが言って、「いいや、こっちの方がおいしいよ!」と言い始めた。そういうのは水掛け論と言うんだよ、と教えた。そしてみんなにきのこの山とたけのこの里を出したら、あっという間に両方ペロリとなくなった。そして「どっちもおいしいっちゃおいしいんだよねー」と身もふたもないことを言う。さっきまでの言い争いは単なるゲームだったのかと笑った。

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