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きらきら

高校生の合同ライブに行ってきた。いくつかの高校の軽音楽部から、任意のバンドが出場する。全部で12〜13くらいのバンドが出ていた。流行りのJ-POPがほとんどだったが、ヘビメタや懐かしめのロックをやるバンドもいた。会場はスタンディングで200人とかそんな規模だったが、ほとんど満員の状態だった。友だちや後輩を呼んでいるのだろう。「先輩!」「あ、来てくれたの?ありがとう」そんな声も聞こえてきた。

最初のバンドはトークの掴みも、演奏も、歌も上手かった。でも、そんなことよりも、だ。上手いとか下手とか、そういうことじゃなくて、バンドもオーディエンスも、みんなでわっしょいわっしょいとお祭りの神輿を担ぐように、場を盛り上げている。

手を振って、飛び跳ねて、拍手して、髪を振り乱して、笑って、歌って、声援を送っていた。ちょっとばかし音を外しやすいボーカルがいても、演奏が途中で止まりそうになっても、みんな手拍子で盛り上げている。「頑張れ」と声をかける。なんなの、このあたたかさ。みんな笑顔だし、そうでなければ、じっと聴き入っている。

どのバンドも演奏が終わると、メンバーが楽屋から出てくるのを友人たちが待っていて、声をかける。「よかったよ!」「かっこいい!」「がんばったじゃん!」そしてメンバーたちは「えへへ」「ほんと?」「うれしい!」と、素直に喜ぶ。リアルな高校生は、みんな楽しそうで、優しくて、行儀が良かった。

オーディションでもコンクールでも記録会でもない。ただ、楽しいだけのライブ。みんながキラキラしていた。こんなの見たことなかったな。彼らの最後に待っているのはインターハイではなくて、「やってよかった」「またやりたいなぁ」「次はもっと練習してくるぞ」みたいな、充足感と次のステップへの挑戦だ。

そりゃ、他人と何かをやるのだから、今日までの間になにか問題があったかもしれないが、それを乗り越えてステージに立った。それだけでもう、満点なんじゃないか?みんな優勝だ。と、思いながら、わたしはライブハウスを出た。



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