しのびあし
運動不足である。これはもう、30年くらいずっとだ。わたしの運動ピークは中学生の時で、部活で毎日ダッシュしたり、腕立、腹筋、スクワットを繰り返していたあの頃は、大抵のことはできた。柔軟性も高く、前屈も床にぺたんと手がついた。足は遅かったが、瞬発力はあった。
が、今ではガチガチである。腰痛持ちで肩こりもひどく、この頃は文字通り、首が回らない(もちろんお金もない)。少しは動いた方がいいのではないかと前々から考えているが、思いつきで始めたジョギングも、散歩も、外に出ることは長続きせず、かと言って家の中で何か続けられるわけもなく、着々と体は動かなくなっている。
顕著なのは、つま先が上がらなくなって、なんにもないところでつまずくようになったことだ。若い頃は足音ひとつ立てずに歩けたのに、30代を過ぎてから、歩くときに音がするようになった。慎重に音を立てまいと歩いても、床に足がついたときに「トッ」と音がする。足の裏のどの部分から着地しても、音がする。子どもの頃は「忍び足」ができたので、忍者にだってなれるんじゃないかと思ったが、今では一歩踏み出しただけで「くせ者!」と槍が突き上げられるだろう。
大人になって体重が増えたから足音がするのか?着地するときの接地面が広すぎるのか?筋肉が落ちて、足の裏が薄くなり、骨が音を立てているのか?
足音を立てずに歩けた頃が懐かしいなあ。ああ、もう忍者にはなれない。
サポートいただけたら、次の記事のネタ探しに使わせていただきます。