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駆け込み乗車

「生き急がなくていいから、落ち着きない」

これはここ数年、私が人生の先輩たちによく言われていた言葉。何を言っているのかよく分からなかった。

私は落ち着いているし、私の何を生き急いでいると表現しているのかが全く分からなかった。せっかちな性格のことかと尋ねても違うと言う。一体何のことやら。さっぱりだった。

しかし、最近それらの言葉の意味が何となく理解できてきた。きっと皆が言いたかったのは「足元を見て生きなさい」ということなのではないか。

感覚的な話だが私は数年に1度「あ、いま人生が次のステップに進んだな」という気持ちになる。これは出会いや別れと全く関係のない、あくまでも自分の意識の話。

直近でいうと、先月の半ば頃にそんな感覚を覚えた。伝わるか分からないが、今までのモヤモヤが急に消えたような、台風の目に入ったときのあの急な晴れ模様みたいな感じ。

数ヶ月前までの私は、キャリアなどの今後のことでとても苦しかった。というのも今のままでは駄目だから何かをしなければいけない。応援してくれる数人のメンターがいるから、期待に応えたい。けれども気持ちが追いつかない。でも止まったら駄目だというような焦りからの駆け足状態だった。遠くばかり見ていた。

けれども先月から急に焦りの感情がなくなった。
なぜ変化が起きたのかは分からないが、人との比較からでた負の感情が消え、今の自分としっかり向き合えるようになった。

それからというもの今まで全く続かなかった勉強が1ヶ月以上続き、選択にだいぶ迷いがなくなった。私が今本当にやるべきことが見えてきた、そんな気がした。もしかしたら長い時間はかかったが、やっと今の自分を受け入れられたのかもしれない。

これ以上乗り遅れないようにしようと必死に走って駆け込み乗車を試みていたけれど、それは決して良い選択ではなかった。自分でしっかり調べて私に合う電車を見つけて乗るのが正解だった。早くきている電車が遠くまで乗せてくれるとは限らないし、もしかしたら次に来る電車が特急であるかもしれない。やっと私も人生の時刻表を落ち着いて確認できるようになったみたいだ。初夏、大きな成長あり。

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