【026】タスクを消化する快感が、本質的で不確実な仕事からの逃避先になっていくリスク
スタートアップ企業は、いつも正解がない不確実なビジネスに向き合っています。
そこでの仕事は、投資した時間に比例して結果がついてくるとは限りません。働いているのに前進した実感が得られなかったり、自分が何の成果も生み出すことができていない無能だと感じられることさえあります。
「正解がないけれど本質的な仕事」に向き合い続けることはしんどいです。
一方で、例えば行動レベルに分解されたマイクロタスクを消化していく行為は確実です。チーム内でコンセンサスを得た正解でもあり、前に進んでいる実感が得られます。チェックリストを一個ずつ消し込んでいく達成感は甘くて気持ちがいいです。
そのため無意識のうちに、本来やるべき不確実な仕事よりもタスクをこなすことを最優位に位置付けるようになることがあります。知らず知らずのうちにタスクの実行を妨げる要因を排除しようとします。
例えば、他部署から相談を持ちかけられた時。
それが既存のタスクの見直しにつながる可能性がある場合、「自分の一存で決められないので、上長を通して依頼してください」とか「できるかどうか確認しておきます」などの言い訳をして、タスクを阻害させない方向に誘導していたら、実はタスクを邪魔されたくないだけなのではないか自問した方がいいかも。
タスクリストを消化することが神聖化されると、本質的な仕事が後回しになるだけでなく、現状否定や現状破壊を受け入れにくい体質になっていくという弊害もあって、これが組織の文化に浸透していくとなかなか変えることができません。正しいやり方を守ろうという正義感によって強化されていくから。
私自身もこの罠に陥っていたことが一度ならずあるので、猛烈に反省しながらこのnoteを書いています。
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