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【035】スタートアップ企業はその未熟さこそが人を惹きつける強みになる

私が新卒の春に入社したベンチャー企業の社長面接での忘れられない思い出です。

社長は当時私より5歳上の27歳。創立2年目でまだ社員は10人も居ないという、乃木坂のマンションのワンフロアで展開している広告系のベンチャー企業でした。

私が「御社のビジョンを教えてください」と就活マニュアルに出てきそうな定番質問をした時のことです。

私「御社のビジョンを教えてください」
社長「あー、ビジョンね、ビジョン。…ないよ!」
私「!?」
社長「というか、ビジョンとか決まってる会社に入社するよりも、これからビジョンを作っていく側にまわれる会社に入社する方が面白いと思わない?」
私「!?」
社長「うちのビジョン、一緒に作ろうよ」

わたしはこの会話がトリガーとなって、95%程度は意思決定したように記憶しています。もちろんこの前後のやりとりも含めての意思決定ではあるんですが、この時の会話は約30年経た今も鮮明に覚えています。

今にして思えば、心が動いた理由は2点です。

一つは、その意表をつく返し。そんな想定問答は用意していなかっただろうと思いますが、秒でそのレスポンスをしてきた社長をただただ尊敬しました。

二つ目は、確かにビジョンとか会社の大事なことを決めていく側に回れる方が圧倒的に面白そうだと実感したこと。

就職活動といえば、面接でいかにその会社が優れているかを見極める場である…的なことが就職活動のマニュアルにも書かれています。でも、それと真逆を行く発想をいただきました。これがパラダイムシフトってやつかと。

実際に入社した後の仕事は期待以上に楽しくて、別のnoteでも書いた通り私のキャリアの原体験となっています。創立2年目の企業に入社して、会社を創っていくことを選択してよかったと思っています。

そんな経験もあって、スタートアップ企業の魅力のひとつは、その未熟さや欠点だと痛感しています。欠点で愛されるなんて、人間みたいで面白い。

なので、もしスタートアップを志向していると自認している人が、会社の未成熟な部分を批判的に感じてしまうようであれば、そもそもスタートアップ企業には向いていないのかもしれません。

すでに出来上がった会社に期待するキャリアにするのか、未完成の会社を創るキャリアにするのかでは全く違うマインドセットを要します。

一方で、スタートアップ企業がアントレプレナー気質の人材を採用しようとした時には、適切な脆弱性の自己開示が有効だということも学びました。その反応から、確度の高い判断材料が得られます。実際にスタートアップ企業の人事として面接官を数多く務めさせてもらった実感です。会社の弱点を開示するほど興奮する変態属性の人というのも、一定存在するものなんですよね。

PS:ちなみにわたしが新卒で入社した会社は、当時のオックスプランニングセンターという社名をリニューアルし、クラウドポイントという社名でデジタルサイネージなどの事業展開をしており今も事業拡大中です。三浦社長には現在も度々ご挨拶をさせていただく私の師匠のひとりです。

写真=ドバイに旅した時に、ホテルの前の噴水広場にいた、ユニコーンの乗り物。ユニコーン企業のイメージで笑(2022年5月撮影byじぶん)

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