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2022年夏休みの宿題の変化~新学習指導要領の3観点~

みなさま、ごきげんよう。
りかママです。

教科書を編集していると、1つ先の指導要領や指導案、指導計画に触れていることが常となります。
現在、日本では、令和2年度から小学校が、令和3年度から中学校が、令和4年度から高等学校が新しい学習指導要領に基づくカリキュラムとなり、今回は、評価の観点も4観点から3観点に新しくなっています。

また、世間では、学校の先生方の多忙、業務超過が頻繁に話題になっています。
でも、先生方はよくおっしゃるんです。
「宿題を出さないと、家で勉強してこない。親が勉強を見ない」と。

新学習指導要領では、教科書の在り方、授業の在り方の変更が唱えられており、その裏で示唆されているのが、家での自学自習の見直しです。幼児期より体験したこと、経験したことを言語化し、体系化し、仲間と深め合うのが学校での学び。つまり、基礎基本となる「経験」と「経験からの知識の習得」は、各家庭でしてくるようにとなっています。(注意:ただ読み書き計算ばかりやればいいというものではありません。)
平たく言えば、「学びは学校に丸投げではなく、家庭で行うもの」です。だからこそ、幼児教育が必須になってきているわけですが、この夏、大きな変化が見られたと思うのが、「夏休みの宿題の変化」です。

では、どのような変化が見られたのか・・・
我が息子の学校のみならず、ニュースでも聞いたことが、「夏休みの宿題の簡略化」です。学校から大量の宿題が出なくなりました。
知り合いの都内私立小学校の先生に聞いたら、「卒業生のお母さまからクレームが出ない程度の宿題は出したけれど、例年よりはかなり減らした」とのこと。本当はもっと減らしたかったな~と話してくれました。

なぜ、今年の夏は宿題が減ったのか?

1つ目の理由は、ニュースでも報道されていた「先生の業務改善」です。
特に私学では、先生お手製のプリントが大量の宿題となっていました。大量の宿題を作成するのも大変ですが、それをチェックするのも大変です。お手製プリントでは、丸つけなど家庭にお願いしにくいですから。
そこで、今年、多くの学校で見られるのが、既製品の問題集の活用です。出版社各社も、先生方の業務改善、生徒の成績向上を目指し、1学期の範囲のみの復習問題集、分野別の問題集、薄い書き込み問題集を展開しています。私学でも、かなり活用されるようになった印象です。もちろん、解答編は各家庭に配布し、各家庭で丸つけをしてから2学期に提出としています。

2つ目の理由は、新しい3観点の3つ目「学びに向かう力・人間性など」の影響です。
3観点(知識・技能、思考力・表現力、学びに向かう力・人間性など)になったとき、一緒に示されたことが、学習評価にPDCAサイクルを取り入れるということです。簡単に言えば、「自ら、学習上の目的や課題を見つけ出し、学習に取り組み、結果が出たらそれを振り返って、次の学びにつなげる」ということ。
学校から大量の宿題を出して、1学期の復習のあれをやりなさい、これをやりなさいと指示していては、3観点目の「学びに向かう力・人間性など」が評価できないんです。

よく、教科書編集中に言っていた言葉は、「ちょっと不親切な教科書にすることで、自ら考え、調べ、話し合い、深める力がつく」です。
つまり、教科書も学校も手取り足取りやりすぎると、受け身の学習になってしまい、結果的には何も身につかないわけです。
自分で学ぶ目的を見つけ出し、やらなくてはいけないことを整理し、計画し、取り組み、もう一度振り返ること。

ただ、これって、小学校低学年は無理なわけで・・・

なので、1学期末の面談を踏まえて、各家庭で1学期の学習内容を振り返り、学習計画を立てて実行し、2学期に備えること。それを1年生から親子で取り組みことで、子どもは自学自習を自走できるようになるってわけです。


※間違っても、「宿題が少なかったから、塾に通わせなきゃ!」とはしないでくださいね!「家で自分から勉強できる子」が望まれているわけで、塾に行って課題を出してもらわないと勉強できないんでは困ります。

小学校受験でも、「家庭がどれだけ教育に取り組んでくれるか」
そこを先生方がみていると言われる理由は、ここにあるかもしれません。

もし、「今年は、夏休みの宿題が少なくてよかったね」とか、
「今年の夏休みは、この問題集1冊だけだからすぐ終わるね」など話しているご家庭があれば、ちょっと立ち止まり、「その子だけの学び」の機会をぜひ設けていただきたいと思います。

今日もお読みくださりありがとうございます。

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