マルタ島では死にたくない(マルタ旅行記〜その2)
〜マルタ 旅行記 その2〜
マルタ島に着いた大学生の私と友人のまるちゃん。
宿泊したのはブジッバという、小さな町のホテル。
ちなみにブジッバはこのあたり。
「なんか、スラム街やない、これ」
はじめて、ブジッバを歩いたときの感想。住宅街だが道がガタガタしており、人が住んでいるとは思えないようなボロ……もとい、味のあるマンションたち。こんなところに本当にホテルがあるのかと疑心暗鬼になりながら重たいスーツケースを持って、二人でとぼとぼ歩いた。気分は焼け野原に取り残された小さな子供だ。
「あ、あった!」
バスを降りてからどれほど歩いたか知れないが、まるちゃんが指をさし、ホテルを発見。まさか本当にホテルがあるとは思えなかったので、二人で歓喜する。
片言の英語でなんとかチェックインを済ませ、しばらく周辺散策をすることにした。ホテルの受付の人が、「歩いて10分もすれば海が見える」と言っていて、本当だろうかと疑った。ブジッバの街はたぶん観光地ではない。あまり期待をせずにスラム街を歩いていたのだが、むむ、確かに何か感じる。風が強いぞ。それに、髪の毛がベタついて来た。これは……!!
「潮風だ」
そう。海に囲まれたマルタで、海に出会えないはずがなかった。
人生で、こんなに青く澄んだ海を見たのはこの時が初めてだった。深い青色もあれば、爽やかなコバルトブルーもある。海にも、いろんな顔があって。日本で見る海も同じ海であるはずなのに、マルタ島の海は宝石みたいだと思った。
ただ、美しい海の景色に浸れないほど、風がびゅんびゅん吹いて、私もまるちゃんも髪の毛がバサーッと後ろへ持ってかれた。前髪が綺麗になくなったお互いの顔を見て、二人して大笑い。
「風やっばー!」
「ほんとほんと、海風すごい!」
人間、風が強いだけでこんなにも興奮することができるのかと自分でもびっくり。その後、二人でカフェがたくさん集まっている広場のようなところまで出たが、その日はもう夕方だったので、ホテルの方へ戻ることに。観光は明日からだ。
ヨーロッパ全体でそうなのだろうが、マルタ島ではお土産屋さんやカフェの閉まる時間が早かった。午後4時ごろにはほとんどの店が閉店している。むむ。これからはちょっと時間配分を考えなければ……と思った。しかし、住人にとっては働きやすい環境なんだろうなあ。日本は働きすぎと言われるけれど、確かに海外に来ると実感する。良いとか悪いとかの話ではなく、こういう生き方が普通の国が世界にはたくさんあるんだって思うと、なんだか「自由に生きていいんだ」と感じさせてくれる。
ホテルの周辺を散歩していると、その日はそれだけで日が暮れた。夕ご飯をどこで食べようかと二人で悩む。初めて来た土地なので、ご飯は美味しいのか、どんなものがあるのか分からない。それに、ブジッバにはあまり大きなご飯屋さんはなく、ホテルまでの帰り道で見つけた小さなBarに入ることに。
「Hello」
全然使い慣れていない英語で、それっぽく挨拶しながら入店。
「Hi!」
店内はちょっと薄暗くて大丈夫かなと思ったけど、お兄さんが笑顔で迎えてくれたため、まるちゃんとほっと一息。お兄さんからメニュー表を渡されて、とりあえず「読めるもの」「これは間違いないと思うもの」を指差して注文した。
その結果がこちらっ。
フライドポテト。
ホットサンド。
パニーニ。
以上っっ!!
「お昼ご飯か」
というツッコミは聞きません。何しろ、メニュー表を見て理解ができたものを頼んだのですから(ドヤ)。
ちなみに、飲み物にはドイツビールを注文。フルーティーで美味しかった。長時間のフライトで疲れた身体が癒されました。
「海外のご飯って口に合わないのかも」と思っていたけれど、まずは美味しいと思えるものがあって安心。
店員さんからは、「どこから来たの?」と聞かれ、すかさず「Japan」と答える。英語が喋れない人の典型的な「単語で返す」方式だ。それでも笑って「Oh」とリアクションしてくれる現地の方はとても陽気だ。
疲れすぎて1、2杯だけお酒を嗜んだあと、その足でホテルまで戻る私たち。ブジッバの夜はかなり暗い。時々すれ違う男の人を警戒しながら女ふたり、夜道を歩いていった。
〜つづく〜
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