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第9回TDセミナー:参加型アクションリサーチとマルチステークホルダーパートナーシップ

先週木曜日に、第9回TDセミナーを開催しました。今回は、環境問題やサステナビリティに関する活動でしばしば用いられる、参加型アクションリサーチと、最近SDGsで注目されているマルチステークホルダーパートナーシップを取り上げました。

参加型アクションリサーチは、文字通り、参加型手法とアクションリサーチを組み合わせたものです。参加型手法は、1970年代前半に、南アメリカの旧植民地諸国を中心に広まりました。先進国や、政治家等の恵まれた身分の人達が考えた方策が、地域のニーズに合わないために失敗する、という経験からの反省として、住民が活動の実施や評価に参加することが提唱されました。

アクションリサーチは、1940年代に始まった研究手法の一つです。集団心理の理論をベースに、地域社会の抱える問題を改善するための効果的なやり方として提唱されました。少しずつ活動を実施し、評価し、それを踏まえて次の活動を実施する、という、活動~評価のループを繰り返す方法を、アクションリサーチと呼びます。

これらを合わせた参加型アクションリサーチとは、研究者と住民が一緒になり、地域の抱えている問題を改善するために、活動の実施と評価を繰り返しながら進める研究手法のことです。

マルチステークホルダーパートナーシップは、1990年代前半から学術的な議論として広まってきましたが、SDGs(持続可能な開発目標)の目標17に掲げられたことで、一躍注目されるようになりました。問題に関わるさまざまな組織が、一緒に課題に取り組むために連携することを指します。異なる組織に所属する人たちの連携、という意味では、トランスディシプリナリー研究や参加型アクションリサーチと共通するところが多く、しばしば同じようなツールや手法が用いられます。しかし、マルチステークホルダーパートナーシップでは、比較的規模の大きい組織と組織が公式な連携を作ることが多いですが、参加型アクションリサーチでは、個人と個人のインフォーマルな協働で行われることも多いです。


知の共創プロジェクトでは、上記のアプローチを含め、さまざまな共創に関わる手法の比較を行っています。そして、これまで蓄積された知見を集めつつ、何がどんな時に役に立つのか特定することを目指しています。


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