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今思うこと

自身の中の「調和」と「違和感ないしは怒り」を上手に使いこなすのは本当に難しいと感じる。

5月28日、私の推しである中丸雄一氏が出演するテレビ番組『シューイチ』内でジャニーズ事務所前社長の未成年者に対する性暴力疑惑についてコメントしたことを受けて、私の気持ちの揺らぎは一段と大きいものとなった。

そもそもこの日は彼の漫画家デビューの報告も兼ねて、漫画家への道のりの密着映像が流れる日ということで、私としても感慨深く、そして心乱される日として意識してはいたものの、番組冒頭から激震の内容に、1日頭を抱えることとなった。

中丸雄一氏がその日選んだトピックがジャニーズ事務所前社長の未成年者性加害疑惑と事務所の対応についてだとわかった瞬間、息も忘れて聞き入った。
大部分は当たり障りのないコメントで、やはりこの件に関しては所属タレントには何も語れないのだから経営側が積極的に表に出て株主や消費者(ファン)やスポンサーに説明をすべき、と強く思った。
(客観的に語っているところが良いとも言えるが、多分に他人事感が漂い、彼自身も事務所の対応、今までのメディアの在り方、性暴力が魂のレイプであるという重大さに気がついていないようにも見受けられた)
そしてコメントが終盤に差し掛かった次の瞬間、背中を冷たいものが駆け抜けた。

「個人的にひとついいですか?」と前置きをして彼は語り始めた。

もし事実ならば日本史上、いや世界史上類をみない大規模犯罪であるにも関わらず、我が推しは番組内で事務所を推し始めたのだ。社会貢献している側面もあると。誇りに思うと。
特大の評価だった。 

2人の児童の親でもある私の中に、怒りや違和感という炎がともった瞬間だ。そして事務所やメディアへの嫌悪・憎悪といった感情を強く自覚したのだった。彼に対する批判的な気持ちも。

本当かどうかまだわからないという中で、確かにこれは感情論かもしれない。
たかが感情。
されど感情なのだ。

人間は感情のいきものなのだ。

私はその日を境に路頭に迷う子どものような心境に陥った。

大好きな人が、自分と真逆の価値観をもっている。

私がTwitterで事務所やメディアを批判すれば、彼は逆に事務所アピールをする(しているように見える)。

こうなった場合最も楽なのは、自分の感情や思考を抑え、何もなかったことにして推しに対して全肯定でいくことだ(思考停止)。

今までの私ならば誰に対してもそうしただろう。誰かや何かと対立することは苦しいしエネルギーがいるし、何より引きはがされる痛みや、理解してもらえない恐怖や落胆や孤独を伴う。

「調和」という穏やかで心地よいホームに舞い戻ってぬくぬくとヲタ活していればよいのだ。今まで通りキャアキャア言って、うっとりと妄想に浸って。

だがもうダメだと私の中の私は言った。「怒り」を押し込めてはいけない。「違和感」を放置してはいけない。積極的に攻撃しようと言うのではない。自分の怒りは自分の大切にしている価値観に気づかせてくれるサインなのだから、見て見ぬふりをしてはいけないのだ。それをしてしまえば、私は私を無視することになり、他者に自分を明け渡してしまうことになるのだ。

つまり当然のことながら私は私の価値観に基づいて生きるのであり、いくらファンでも中丸雄一氏の価値観で生きるわけにはいかない。

当たり前なのだが、ファンになって何度もこの落とし穴にハマり苦しんだ。
あまりにハマっていると、自分と推しの間にはきっちりとした境界線があることを自覚できなくなっていく。相手の言うことにすべて「YES」と言いたくなるし、言わなければならないと思い込んでしまう。

(さらに深堀すれば私たちひとりひとりは結局ひとつであるという概念に行きつくのだが、今日は混乱してしまうのでその概念には触れないでおく。)

そんなわけで彼の漫画家デビューまでの密着映像にも違和感を覚え、結局素直に手放しで喜ぶことができないという結果に終わった。

とても残念だが、反面、とても良い気づきと学びの1週間だった。

私は中丸雄一氏が好きだった。いや、今でも大好きだ。
彼にはとても感謝している。
素晴らしい時間を共有したし、温かい心の交流もあったと確信している。
同じ価値観だと感じる部分も多かった。
すべてがまったく一緒であるなどありえないので、
違う価値観をもっていることに何もおかしいことはない。

ただ、今回の性暴力疑惑に対する価値観の相違は、ズレ方があまりにも深刻すぎるように私は思うのだ。

テレビも見たくなくなってしまった。Twitterも開きたくなくなってしまった。

彼の言葉のひとつひとつにトゲを感じるようになってしまった。

これから私はどうしたらいいのだろう。

自分の価値観を大切にすることは絶対だけれども、
私はまだ、路頭に迷う子どものままだ。





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