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いよいよ卒業 でもいつまでも愛してるよ

私は22歳で結婚をした。
一般的には早めの結婚で、結婚の早い理由としては
夫側は「20歳で結婚して子供を5人授かりたい」という夢があり
私側は「もう誰とも恋愛をしたくない」という
「結婚してしまえば誰とも恋愛をしなくて済む」という謎な理由で
(新しい彼氏ができる、誰かに告白される、そういうのがもうやだった)
ふたりは早々にして結ばれた。

私が元夫に興味が惹かれたのは
彼のもつ「洗練された思考回路」だった。

彼の思考回路は、きれいなパソコンの中身を見せてもらっているようで
各要素のフォルダー管理がなされているような
とにかく複雑で絡み合って本質が見えなくなりそうな要素さえも
しっかり細分化されていて、整頓されている。
それがあまりにも美しすぎて、惚れた。
きっと憧れていたのかもしれない。
自分とは一番ほど遠いもののようで、一番求めていたものだったのかもしれない。

活字の本なんて数ページ読んだら集中力の切れてしまう私が
彼との出会いをきっかけにめちゃくちゃ読書家になった。
彼の思考回路の仕組みを、解明したくて、
どこかの誰かに言語化してほしくて
委ね先が本だった。

本の面白さに気づいてしまった。
それから、お金を使うといえば、本ばかりに使って
女であることを忘れるように洋服も化粧品も興味が失せた。
それくらいの衝撃だった。

ここで初めて「メタ認知」という言葉も知れて
小さい頃からもう1人の自分が自分を見ている感覚という
感覚を言葉にしてもらった時の感動は今でも忘れない。
「言葉」ってすごいっ!
「言葉」への興味はここからだっただろう。

感覚の吸収力が多い分、疑問も多ければ好奇心も旺盛。
しかし、それを落とし込む言語能力がないが故に
その吸収したものは、感覚だけに終わり、
自分の内側でふわふわと漂う水蒸気になってしまって
なんともスッキリがしていなかった、長らく。

だから「言語化」できる心地よさに味を占めてしまった。

よく夫との会話の中で
「ねーねー、それを君の才能で言語化してよー🩷」って
言語化おねだりをよくしていた。
それを夫は嬉しそうにしてくれて、
その言葉のスッキリさと、爽快さと、奥深さに毎度うっとりしてしまう。
昨日の電話でも、おねだりをしてしまった。

まあ、そんな感じで仲も抜群によかった夫婦だけど
宿命には逆らえない時がきた。
色々な夫婦関係の未熟さや、個人的な魂の磨きが
大事なフェーズに移行していくと、
一緒にはもういられない状況が次々と起き始めた。

夫は「執着の天才」なので、
何度も何度も宿命に逆らおうと、私を離さないように
飛んで行かないようにずっと手を離さずにいてくれた。
しかし、飛ぶものは飛んでしまう。
「羽が生えていることは知っている。だけど飛ばせるわけには行かなかった」
悲しげな夫の言葉が溢れたとき、
本当は全部わかってくれていたことに、感謝が湧いてきた。

そして、全ての根幹には「恐れと愛」がぐちゃぐちゃに混ざり合っていて
そんなぐちゃぐちゃに歪んだ彼の大きな心にも感謝をした。
男性の愛は、女性が想像している以上に深い。
それがどのような行動であったとしても
私はその心側を大事にしたいと思った。
ありがとうをしたかった。
そうすると自分も幸せだから。

そんな彼も私の手をいよいよ離した。
もう飛んだ鳥は帰ってこないことを理解してくれた。
もう帰らなくていい、羽ばたけと言ってくれた。
でも、死臭がするから頼むから死なないでくれという寂しい言葉を残して
連絡を終えた。

あれだけ一緒に色々な難題を共にしたパートナーだから
どんなことがあっても、愛は薄れることはない。
彼の幸せをいつまでも願っているし、
彼が幸せになるようにエネルギーだって送り続ける。

彼が私の核のボタンを押してくれた。
「俺は押してしまったんだ」と泣いていた。
そう、押してくれたんだよ。
私は何で返せる?あなたのために何ができる?

神様、私の大事な元夫をどうかどうか導いて。
私が死んでも、エネルギーが送れなくなっても
ずっとずっと感謝を送り続けて。
出会わせたもらったご縁とたくさんのことを教えてもらって
私は何倍も成長できた。嬉しいの。
ここまで深い愛を知ったのは、夫のおかげですから。

彼はとても勘がいい。
私が死んだ時はエネルギーを感じてきっとわかるだろう。
もうこの世界にはいないってこと。
いってしまった、と気づいてくれるのだろうか。

本当に死を知る人は誰にも告げずにいく。
止まられない宿命を知っているから。
全部を話すことがいいわけじゃない。
知らないままでいた方が幸せなこともある。

残り短い命かも知れない。
でも、ちゃんと生きたいよ。生きてくよ。

そして、お空へ帰った時、
この恩を愛と感謝で流すからね。
さようなら。
ありがとう。

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