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引っ越ししてみて気付いたこと    Cook&Retreat 毎日料理を作っている人にこそリトリートを!

今年の4月に鎌倉の雪ノ下から稲村ケ崎に引っ越しました。
鎌倉駅から江ノ電で6駅、10分。

距離にすると「あ、ご近所に引っ越しね」くらいのイメージですが、
この引っ越しに伴って、
私はたくさんの変化を受け入れ、
いくつかの大きな決断をしました。

今回はその流れの中で体験したことや思い
そしてうっすら見えてきた近未来のことなど・・・
ざっと書き残したいと思います。

これまで

2007年から鎌倉の雪ノ下で「リエッタ」というカフェと、料理教室を主宰してきました。

カフェリエッタ外観


料理サロン(コロナ禍でも対策をして)

なかでも手ぶら参加の料理教室は「予約が取れない・・・」と言われ続け
カフェとの2足のわらじで続けること13年あまり。
カフェのお客様と料理教室の生徒さんの総計は3万人を超えました。

雨の日も、風の日も、いやぁ・・・実によく働きました。
そして、それ以上にたくさんの方に応援していただきました。

さらに、コロナとは前後して2018年に書籍を出版しました。
(これも色々ありましたが、ここでは端折りますw)

書籍は発売以来、予想を超える大反響。

これは積み上げてきた経験と、
「料理を現場で作り続ける人」と直接触れ合ってきたからこそ手にできたリアルな声にしっかりと後押しされたことの裏付けです。
まさに「私だから言えること」を全部出し尽すことが多くの共感を得たのだと思いました。

すると料理教室は輪をかけて「予約困難」となり、実に断っても断っても足りないくらい、大変な勢いとなりました。


しかし自分が頑張ればどうにかなる!ということばかりではないのが商売というもの・・・

世界はコロナで一遍しました。

当然、飲食を生業としている私はしばし休業。

折り合いをつけながら世の中が動きだしてからも、
不要不急の権化みたいな「料理教室」は昔ほど人々の心をつかみはせず
あれほど「予約がとりづらかった」料理教室は見向きもされなくなりました。

みんな「日常の課題解決」よりも「現実から逃げる非日常」を求めていたのだと思います。

したがって「日常の課題解決」を得意としてきた私の仕事は雲行きもあやしく、もどかしい気持ちでもがいていました。

「予約がとれない!」は過去の話ですが、その印象だけは残り続け
予約も入っていないのに「予約がとれない」イメージで客足は芳しくなく
さらに商売は厳しくなりました・・・
が、詳細はここでは端折りますw

レシピ本大賞エッセイ賞を受賞



拙書は合計7冊

人生にタラレバはなけれど、今も考えてしまします。

コロナがなければ、出版直後の勢いのまま料理教室は本当に「予約がとれない」大盛況が続いたはずです。

マスコミにももっともっと取り上げられ、色んな要求に応えなきゃならなくなっていたでしょう。
しかしきっと、忙しすぎて私はどこかで壊れてしまったと思います。

このように2007年3月の開店から2024年3月のクローズまで、
公私ともども、体調面でも様々な難局に直面しました。

そして、あらゆる選択をしましたが、総じて私は頑張ったと思います。

実際の予約は芳しくなくても料理教室を運営しつつ、
マスコミにも取り上げられたり、
地域コミュニティ活動も注力したりと・・・

一見、華やかにみえたかもしれませんが、
毎日朝早くから玉ネギを刻み、何百単位の皿を洗い、買い出しに奔走し、レシピを考え続け、試作を重ねるという労働はどれひとつ端折ることはできません。

そして企画、告知、集客という避けては通れない仕事もあります。

そもそも、飲食という仕事は「今週は余裕があるあら先にやっておこう」というペース配分すらできません。

もちろん仕事だけではなく、家の事や子供の事もアレコレやることはありますから、
常にアクセルべた踏みの状況だった・・・と今、振り返っています。

もう二度とあんなに多方面に全力投球は無理だと断言できますが、
きっと人生にはそのように頑張れる時期があるのだと思います。

気持ちの変化

コロナが一番大きな出来事でしたが、
いつだっていっぱいいっぱい考え、そして知恵も絞りました。

ちょいちょい折れかかる気持ちを繋ぎなおして頑張っても、
お客様は昔のようにもどることはありませんでした。

世の中も変わりましたが、当然自分自身も変わっていきました。

思い通りに行かないなかで、
「現状をどうにかしよう!」ともがく半面
「もう何もかも違うんじゃないのか」もうやめてもいいんじゃないか」
と冷めている自分もいました。

きっと「やり切った感」を体感していたのだと思います。
それなのに、無理やりどうにかしようとしていたのでしょう。

何もなくなる・・・という恐怖から。

さながら、ブレーキを踏みながらアクセルを踏む・・・ような日々でした。

実はもう少し前から何かを感じていました


もう5年ほど前から、実は家探しをしていました。
コロナの前からです。

理由は、
職住同一の空間に息が詰まるようになったからです。

違う言い方をすると、
同じく個人事業主である旦那と成人した息子
私を加えた大人3人家族の「暮らし方」を模索する中で、
今の家という箱の中での限界を感じていました。

せっかく同じ時間を生きているのに、家族が「家」という箱の中でバラバラでした。

家族がそれぞれ自由でありながらも、
繋がって尊重しあい、より良い関係性を続けていくためには、
「何かを変えたい、変わりたい」・・・そんな気持ちがありました。

それにはまず形から。
というより「箱」から。

そう思っての家探しでした。

しかし、運悪く?コロナ禍に突入して鎌倉の物件は飛ぶように売れ。
実際、価格もウソみたいに高騰しつづけました(個人的感想ですw)
当然、家探しは極めて難航。

そもそも、当時住んでいた場所に大きな不満があるわけでもなく
逆に、立地も大家さんやご近所さんとの関係はこの上なく素晴らしいこともあり
「ここを手放してまで住みたいところ」との出会いはがなかった。と言った方が正しい気がします。

探しても探しても、なかなか新しい家とのご縁がない現実に
「ここに住み続けなさい」という神のメッセージかと思いました。
「これが運命かも」と観念し、2023年末くらいから自分の気持ちを切り替え始めました。

つまり半ば引っ越しをあきらめたのです。

もうきっとここから引っ越すこともあるまい。
ならば、ここでもう一度できることを考え直そう。と。

そんな中、降ってわいた「引っ越し案件」

2024年2月のことでした。

不動産はご縁とタイミングといいますが、本当に想像すらできない何かがあると思いました。

「稲村ケ崎に良い物件がある」
そう聞いてから二転三転・・・詳しくは書けませんが
本当に本当にいろんな奇跡が重なって奇跡的に引っ越しが決まりました。

その時私はインド滞在中!!!

実際の引っ越しは、仕事を手放すことでもあるので
冷静に頭で考えたら不安になることがたくさんありました。

しかし、そんな現実の心配事を探すより、何かに導かれるようにその流れに乗ってみることを選択しました。
まさにインドで瞑想中だったのでw

カフェはコロナ直前にクローズしていましたが、
17年間続けてきた料理教室も休止することはそれなりの覚悟が必要でした。
なぜなら、今までイチから積み上げてきたものがなくなる。

一方で、引っ越し先でも出来る範囲で継続する・・・という選択肢もありました。
「やればできる」ことでした。

けれど、「やればできること」で新しい生活を埋め始めるのは
絶対に何かが違う!と強く強く思ったのです。

自分でも不思議でした。

古くからのものを手放せずに「とりあえず今のものを持ち込む」ことが
新しい場所に、新しい関係性に「失礼だ」と思ったのです。

手放すことの不安よりも、潔さを選びました。

しかしそうは言っても、いよいよ引っ越しが迫っても迷いがあったのは事実です。
自分で作り上げたものを自分で壊す・・・
目に見えることもそうでないこと含め、この体験は少なからず心に傷を負いました。

それでも心のどこかにで
「この波には乗ったほうが良い」という声が不安より大きかったのです。
注:ちなみに私はサーフィンは一切やりませんw

保守的で怖がりの私ですが、本当に1ミリの根拠も自信もなく
「一回全てを手放して新しい場所からはじめてみよう」
という心の奥底に沸いた思いに従ってみました。

不安だからといってアレコレ保険をかけたり、
やればできるから、と中途半端に続けること曖昧さは
このピカピカのご縁にケチをつけると思っていましたから。

別な言い方をすると
このご縁にただただ純粋に従ってみる

そのことこそ大事であり
きっといろんな物事や気持ちはその後についてくる・・・と
そんなことを感じていました。


店をたたんで、雪ノ下から稲村ケ崎へ


最後の料理教室の日を覚えています。
いつもと同じく朝から仕込みがあります。

今日で最後といっても、不思議なことに全く感傷的にならず
どちらかというと気持ちは晴れ晴れしていました。

「ああ、やっと終わる」「ちゃんと終われる」

これで17年間、延べ開催2000回以上、参加人数1万3000人超え。
これが1日1日、1回1回、積み上げてきた実績です。
ちなみに自分の都合(体調不良含め)でお休みにしたことは
タダの一度もありませんでしたw

体調不良も入院手術も必ず、仕事がない期間に・・・という不思議。
というか、きっとものすごく「気を張っていた」のだと思います。

それもあって、全ての回にきちんを責任を果たし、
全力でやりつくした経験は、私の「誇り」です。

自分アッパレ!

逆に、息子は感傷的になって涙ぐんでいました←なぜ?ww

思い返せば、私がこの仕事を始めたのは彼が小学校2年の時。

きっと少なからず我慢や不満など、私の想像よりはるかに経験してきたのでしょう。
しかし、仕事をすること、お客様からお金をいただくことのリアルな姿を見せられたことは私の勝手な誇りでもあったのです。
本当に親の勝手ですけど。

息子よ、支えてくれてありがとう!

最後の料理教室が終わってすぐに、看板をはずし、メニューを片付け
壁紙を剥がし、照明まではずしました。
ここまで一気にやりました。

「あーーーーすっきりした!!」
本当に清々したもんだから、思わず声にだして言っていました。
この感情には自分でも驚きです。

私の気持ちにはこの時、一点の曇りも後悔もありませんでした。
これが本当の「やりきった」という体感でしょう。

そして新居へ


庭から見える海

緑あふれてます!海も見えます!

「住めば都」・・・とは良く言ったもので

人生で初?(いやそうでもないか・・・)の
「なにもしない時間」は最初こそ若干の居心地の悪さを感じましたが
実に楽しいのです。

もう毎日が自由!!

それまで、場所に紐づいていた仕事をしていた私にとって
引っ越しはただの場所の移転ではなく
自分がまっさらになってイチからスタートするという意味をもっていました。

しかし清々した気持ちと同時に、
自分の仕事や暮らし、つまりどう生きていくのか?
それに対する不安もあります。

だからと言って
退路を断って、すべてを一旦手放した自分の大きな決断を、
安易なものにしてはいけない!
そう強く思いました。

焦る気持ちにフォーカスして
「できそうなこと」で未来を埋めない!
そう強く思っています。

それこそが大きな決断をした自分へのリスペクトであり。
この場所にご縁をつないでくれた多くの人への礼儀であり。
気持ちよく送り出してくれた昔の大家さんへの感謝であると
私が信じているからです。

そして人生初?のゴールを定めない、あせらない
そんな時間を過ごしています。
が・・・当然、焦りや不安が消えてなくなっているわけではありません。

なんでもかんでもすぐに決めたがる・やりたがる
とにかく言ったことは必ず実行しない時がすまない私が
この状況を説明するとなったら
「何もしないを全力でやる」
とでも言いましょうかw

とにかく
きっと未来を見つけられると信じて
精いっぱいダラダラと時間を過ごしています。

そしてそうやって過ごせていることに心から感謝しています。

ちなみに、仕事としての「~ねばならない」がなくなったら
料理すら楽しいのです!

試作、納期、集客、調理、片付け、企画、試作、納期、集客、料理・・・
無限ループは一旦お休みです。

そんな「楽しいけれど、なかなか慣れない毎日の中」

あ、これかな?
それ、やってみようかな?
・・・の声は心に浮かび上がります。

別に何かをすぐに見つけ出さなくてもいいのに・・・です。
そしてその中のいくつかは、もう少し確かな輪郭をもって自分の中で育ってきました。

それが最近、少しずづアウトプットしだした

Cook&Retreat
です

これが今のところとてもしっくり来ています。

なぜならお招きする人たちが口をそろえて
「癒された」「のんびりできた」「ずっとボーーっとしていられる」
「非日常」「まるで小旅行に来たみたい」などなど・・・言ってくれるのです。

Retreat リトリートと料理の融合です

感覚だけで生きてきた私ゆえ、
途中で「あ、やっぱ違った!」もあると思いますが、
それすら含んであえて宣言してみます。

いつも、何度も、離れない思いが
「Cook&Retreat」

毎日料理を作る人にこそ、リトリートを!
そんな場所でありたい
応援する自分でありたい

それがいまたどり着いている「近未来」です


作ってみましたw

以上
ご清聴ありがとうございました。

今月末より、ぽつぽつとイベントを企画していきます。

どれも「やってみたいこと」として私の心を動かし
きっと皆さんにRetreat していただけるもの。

ブログ・インスタを中心にご案内していきます。
https://ameblo.jp/caferietta


お楽しみに。
そして、これからもよろしく!





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