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フレイル・要介護状態の備えとしての『足のケア』

高齢者の転倒により起こり得ることとは

 高齢者の要支援1、2といった方が要介護状態となる原因のひとつとして「骨折・転倒」が挙げられています。

高齢者の転倒や骨折は、歩行する際に介助が必要となったり或いは車椅子の生活、交流参加の減少、日常の生活動作への影響、寝たきり、誤嚥性肺炎等といった身体や健康面。行動範囲の縮小、楽しみや暮らしの変化といったあらゆる面にまで影響を及ぼしてしまう恐れがあります。

 介護サービスを利用せずに活動的で生きがいのある生活や人生をできる限り自立して、お元気に暮らし続けられるように「介護予防事業」が各市町村で実施されています。「運動機能向上」「口腔機能の向上」「認知機能向上」「閉じこもり予防・支援」「うつ予防・支援」などが一般高齢者施策として挙げられています。


望まない転倒による、望まない寝たきりの生活の始まり‥

施設にお世話になっていた私の祖母も転倒により足は怪我をしながったのですが、その日から寝たきりの生活となり、それまでの暮らしが一変しました。そして転倒3ヶ月後に祖母は他界しました。

私が丁度フットケアを学び始めた矢先の出来事でもありました。もう少し早く学んでいれば祖母は転倒せずに済んだのかもしれないという後悔もあるため、今こうして皆さんに介護における足のケアについて伝えている理由でもあるのです。 


足元のトラブルが招いてしまう転倒がある

・靴

・足の爪の長さ

・足の趾(ゆび)の関節可動域

・足裏の魚の目や巻き爪などの痛み など

の足元のトラブルにより転倒を招く原因のひとつとなることがあります。


元々私は、介護におけるフットケアを知らなかった特養の介護福祉士でした

介護におけるフットケアに出逢う前に、私が特別養護老人ホームで介護士として勤めていた頃、利用者の方が転倒した際の転倒原因を個人としてもスタッフ間でも分析する際に転倒した方の足の爪や足の趾、足裏まで靴下を脱がせて状態の確認と考察をするといったケアは行っていませんでした。それは今となっては介護福祉士としての私の盲点でした。


元々私は、足へのアセスメント力が不足していた介護支援専門員でした

また、過去に特別養護老人ホームにて介護支援専門員として介護計画書を作成していたこともありました。

当時を振り返ると足に関することであれば浮腫や白癬菌、皮膚搔痒、立ち上がりなどの確認は実際自分の目で見て確認をしてアセスメント、計画書の作成、モニタリングを実施していましたが「足裏」「足爪」「足趾」に関する役割やトラブルについての把握は、こちらも同様介護支援専門員として盲点となっており十分なアセスメントをしていなかったことを今となっては猛烈に反省をしています。


足の機能を最大限に活かせるように備えておくこと

高齢者の転倒やフレイルを予防するケアのひとつに「フットケア」があること。

そして要介護状態、車椅子の生活、寝たきり、食事摂取量の低下、誤嚥性肺炎等になることを防ぐことにも繋がる大事な身体の中のケアのひとつにも「フットケア」が関連してきます。

それは、活動的で生きがいのある生活や人生をできる限り自立してお元気に暮らし続けることができる高齢者が増えることにも繋げられるという側面を有しているのです。


「足の爪ひとつでも」

フットケアの施術で訪問したご自宅で暮らしている要支援の方。

「足の爪が痛くて歩くのが酷かった。足の爪を見られるのが恥ずかしくて友人と温泉に行くのを躊躇ってしまう。」

という女性ならではの悩みもありました。



この方を例にとると

足の爪への恥ずかしさが齎す考えられること…

 ・友人との会話の機会が減る

 ・歩行、外出を控える

 ・楽しみ(温泉)が減る

 ・気持ちの低下


足の爪の痛みが暮らしに齎す考えられること…

歩くことを控える →  家にいる時間が長くなる

→ 活動量、参加、交流の機会の減少 

→ 閉じこもり →  認知機能の低下 など


・足をかばい歩くことで腰痛、膝痛などの出現。身体のバランス、姿勢の崩れ。不安定な歩行や立ちあがり、転倒、骨折、寝たきり、要介護状態など。

・「我慢する」「諦め」といったネガティブな感情を抱き気分の低下。


足爪ひとつでも、ご本人を取り巻く環境や心理が変化しフレイルや要介護状態を招き兼ねないのです。


高齢者の足のケアへの普及と啓蒙

フレイルや俗に言う介護予防と「フットケア」の関連性は、まだまだ介護業界内においては広く理解、浸透がされていないものだと感じております。また超高齢社会という社会背景がある中で、毎日使う足に関しての高齢者のフットケアへの研究データの少なさもフットケアを伝える者としての課題とも言えるのかもしれません。微力ながらご年輩の皆様がお元気な足元で、そしてお元気な暮らしをご自宅で続けられるようにフレイルや介護予防としての観点からもフットケアへの理解浸透に力を注がなければいけない役割だと思っております。

毎日使う「足」」でもあり、私たちの全体重を支えてくれている「足」でもあるのだから。

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各種団体様向けのフットケア研修の詳細は下記をご覧ください。地域の高齢者の方に向けた足のお話会もお気軽にお時間、費用等お問い合わせください。


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