見出し画像

新たな暮らしと靴生活の始まり


デイサービス、グループホーム、老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、高齢者住宅、小規模多機能ホーム等といった建物。

その多くの建物の室内では、高齢者が上靴やスリッパ等の内履きを長い時間履いて過ごす方が多いのだと思います。


画像1


自宅では何十年と室内では靴を履かない生活を送ってきた方も多いことと思います。

しかしながら高齢者施設等を利用、或いは入居することになると室内では靴やスリッパ等を履く生活へと変わる方が大半です。80歳代以上の方が自宅を離れて高齢者施設等に引越し新たな生活をスタートすることでも大きな環境の変化となります。それに加えて毎日靴下と靴を履く生活となり、足元の環境も変わってきます。足を使う動作、そして足部の蒸れなどの不快感や足白癬、爪白癬等などにもなりやすく足元環境もだいぶ自宅にいた頃と変わってくるのだと思います。

高齢者施設等で暮らしている方の中には、自宅にいた頃は夏場は裸足で過ごされていた方も多いのではないでしょうか?

思わず靴や靴下を脱いでしまう方の気持ちも十分察することができますよね。


画像2


歩行や立ち上がり動作に適さない靴らしき靴を履いていることで、かえって高齢者の歩行や立ち上がり動作を不安定にしていることもあります。又、歩行介助を受けている際に高齢者の意識を散乱、混乱させてしまっている要因のひとつにもなり兼ねません。その逆を言うと適切に靴を履いたり、歩行状態等に応じて靴を選ぶことで介助する側にとっても歩行介助や立ち上がり介助への負担を軽減できる場合もあります。


画像3


誰もが訪れる加齢と老化。

これにより次第に屈むことができなくなり、【靴のベルトが閉められないまま。或いは不完全なベルトの締め具合で靴に足を入れて、ひとりで立ち上がりや移動をすること】で、どのようなことが起こり得るのかを想定できるか、それとも想定できないのかで暮らしの明暗が分かれてきてしまうのかもしれません。


加齢に伴って足を使う動作に関連する骨や筋肉、皮膚等への変化もあります。

高齢者の歩行介助や立ち上がり介助等の基本動作のケアの前に。散歩や活動の支援をする前に身体を支える基軸となる『足』や『靴』に対しての基礎知識はケア職にとっては必要な領域なのではないでしょうか。

私の訪問のフットケアでは、伸び切った爪を整えれば終わり。足を洗い皮膚が清潔になったから終わりではなく日頃のセルフケアや体操等のアドバイス、靴に関しても観察を行い必要に応じてご家族や介護士さん等に助言をしています。それは靴も要因のひとつとなり転倒した亡き祖母の教えもあるからです。もっと足について早く学べば良かったという後悔も残るからです。


画像4


画像5


高齢者のケアの中で『足』だけではなく『靴』に関しても観察項目のひとつとしてリストに挙げられること。そして基礎的な靴の知識だけでも介護士さん等が習得することで、慣れない室内で慣れない靴を履くおじちゃん、おばあちゃんが抱く不快感や違和感、不安等の軽減や解消にも繋がり得ると思うのです。

そして、それは介護される側と介護する側のお互いにとってのより良い関係や暮らしにも繋がるケアでもあるのだと私は思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?