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初めて教わった料理

小学校4年生のとき、私が母から初めて教わった料理は、クレープです。

野菜をたくさん食べるようにと、いつもいつも言う母。クレープの生地にもすりおろした人参を入れます。私はそれが大好きです。

母の教え方は、「だいたいこのくらい」。
大さじ、小さじ、計量カップ、はかり…実家にはそういうものがそもそもありません。
出来栄えにも毎回ムラがありますが、「まずい!」ということはありません。

野菜炒めの中に火が通りきっていないところがあって「あれ、ここらへんのキャベツちょっとかたい…」と言っても、「歯ぁ、あるべ」と言われて終わり。よく噛めば良いのです。

母から教わったクレープ。
「だいたい」の作り方を書き出してみます。

・ボウルに卵2個を割り、泡立て器でときほぐす
・砂糖を小さめのスプーンで2杯くらい、塩を強めのひとつまみ、混ぜる
・人参1本すりおろして卵に入れて混ぜる
・小麦粉を、カレーとか食べる大きめスプーンに山盛り5杯入れて混ぜる
・牛乳を少しずつ入れながら混ぜる
牛乳の量は、泡立て器を持ち上げたときにポタポタ…と垂れるくらいの緩さになるまで
・フライパンでマーガリンを、小さめスプーンに1杯くらい、溶かして生地に入れてすぐ混ぜる
(あればここでバニラエッセンスを入れる。無くてもヨシ)
・フライパンに残ったマーガリンをティッシュでサッと拭き取って、生地をおたまに1杯、フライパンに広げる
・弱めの中火で、生地の端が茶色くなってきたら、菜箸なりフライ返しなりでひっくり返す
・ひっくり返してからは、心の中でゆっくり10数えるくらい焼いたら出来上がり

とろけるスライスチーズを包んでクルクル巻いたり、ジャムやチョコクリームを塗って三角に折ったり、レタスとツナマヨを包んだり。

そんなふうにして食べていました。

私には4歳下の妹がいます。
いつだったか、妹にもこのクレープの焼き方を教えたのですが、小麦粉をスプーンに山盛り5杯、のところで、こぼしてしまってうまくいかないので、「じゃあそれはお姉ちゃんがやるよ」と言っても妹は自分でやりたがり、どうにもイライラしてしまったのを覚えています。

それを見た母が、「1杯をもっと少なくして6杯にしたらいいだけのことでしょ、別にそんな怒らなくても」と助言してくれました。

自分の頑固さを自覚しました。
アタマを柔らかく、揺らいでも良いところをすぐ見つけられるほうが、楽しくラクにいられるよなぁ、と。

うまくいかないときは、ちょっと引いてみたり、視点をずらしてみたり、一呼吸置いてみたり、何がしたいのかもう一度見つめ直してみたり。

人参の優しい甘さと、少しシャリっと食感が美味しい、クレープの生地。
人参を買い忘れたとき、カボチャでやってみたら、真っ黄色で見た目も可愛らしく、甘くて美味しい。

お店で買うクレープよりも、分厚くて生地の存在感が強く、もはや別物かも知れないけれど、初めて自分で作れるようになった美味しいものを、家族との思い出も絡めつつ、ご紹介してみました。

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