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【起業日記⑨】洗剤開発、最後の砦。布おむつにこびりついたウンチカスを、もみ洗いせずに落としたい

前回のお話はこちら

布おむつについた汚れをラクに落とす洗剤を開発すべく、原料屋さんとの二人三脚での開発がスタートしました。原料屋さんから送られてくる洗剤を、いろいろな洗濯工程で試し、ベストな洗濯の工程を探っていきました。

誰もが、安全に、優しく、確実に汚れが落ちる

洗濯工程を検討する上で大事にしていたのは、
・誰でもラクに
・安全に
・環境に優しく

汚れが確実に落とせるということでした。
 
中でも私がどうしても実現したかったのが、もみ洗いの工程をなくすということでした。1日10分、もみ洗いをすると計算をして、それが一生続くとなると相当な時間をもみ洗いに費やしていることになります。
 
また時間のみならず、赤ちゃんのウンチに存在するウィルスが、もみ洗いを通してお母さんたちに感染するリスクにも着目していました。汚れたものを極力触らなくて済むように、洗濯に潜むリスクを限りなくゼロにしたいという思いがありました。
 
原料屋さんからは「もみ洗いをなくすなら、80度のお湯でつけおき洗いにしよう」と提案されましたが、これも受け入れることはできませんでした。そもそも80度のお湯は洗面所から出ません。お湯を沸かすという工程が増える上、洗濯中にお母さんたちが火傷をしてしまう可能性もあります。とにかく安全であること。これも譲れないポイントでした。
 
そして洗濯洗剤が水を汚染し、地球環境を破壊していることを知っていたので、自分で作るからには「地球に優しい」成分であることにもこだわりました。
 
もみ洗い不要で、誰でもラクに、安全に汚れが落ちる。それでいて地球に優しい。そんな夢のような洗剤を開発するためには、やはり「つけ置き」しかない。一つの結論に達した私と原料屋さんは、「つけ置き洗剤」という前提に立って製品開発を進めました。
 

つけ置きしても、固形物が落ちない…!

原料屋さんから新しい洗剤が届くと、つけおきで汚れが落ちるか実験しました。
どうしても色が残ってしまう、一部の汚れが落ちない…。Before Afterを記録し、原料屋さんに共有しました。
この時、すでにうちの子どもたちはオムツを卒業していたので、友人の息子くんがしてくれるウンチが貴重な実験材料になりました(笑)。
 
ほぼこれが最終形だろう、というほどに試行錯誤を繰り返したのですが、どうしてもウンチカスの一部が落ちません。これはもう、洗剤で落ちる汚れではありません。
 
じゃあ洗濯前にトイレでしっかり落としてもらう?
いえ、全部をトイレで落とすのはやっぱり無理です。お母さんたちがウンチを触ってしまうリスクもあります。
 
その時、原料屋さんから思わぬ提案がありました。
「脱水したらどうでしょう?」
 
脱水には汚れを攪拌して剥がすという性質があります。確かに、脱水機能を使えば汚れが落ちる可能性があります。
 
早速試してみました。つけ置きした水ごと入れて脱水にかけ、そこから洗濯モードで通常通りの洗濯をします。終わった布おむつを取り出してみると、ビンゴでした。綺麗さっぱり汚れが落ちていました。こうして、リネンナの原型となる洗剤が完成しました。
 
鬱になってしまったと布おむつユーザーのお母さんからメールをもらったのが2013年。それから5年の月日が流れていました。

次回へ続く。


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