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【起業日記⑬】「漏れない、ムレない、臭わない」布ナプキンの開発

前回のお話はこちら

ECサイトの復旧期間中、Rinennaを自力で売るべく某外資系保険会社の営業支社を全国行脚していたちょうどこの頃。いよいよ製品化に向けて最終調整を迎えていた製品があります。Rinenna発の布ナプキンです。

布ナプキンの開発を考え始めたのは2011年ごろ。ちょうど布おむつの開発を始めた頃でした。しかし、開発してくれる工場がなかなか見つからなかったこと、また試作品を試そうにも、月に一度の生理を待つしかなく、想像以上に開発に時間がかかっていました。

漏れない、ムレない、臭わない布ナプキンを目指して

私が開発にあたり目指したのは、「漏れない、ムレない、臭わない」布ナプキンです。実現のために工場探しからスタートしました。小ロットから開発してくれて、繊維に詳しい信頼できる工場を探すのは、布おむつの時以上に至難の技でした。

紹介に次ぐ紹介でようやく出会えたのが、大手下着メーカーの下着を縫製している縫製会社でした。繊維についての知識も豊富なこの縫製会社が、製品化に向けて協力してくれることになりました。「漏れない、ムレない、臭わない」布ナプキンというこちらの要望を伝え、製品開発がスタートしました。

生理の臭いは体調不良のサイン!?

「漏れない、ムレない、臭わない。この3つのテーマのうち、一番最初に解決できたのが臭いでした。というのも、そもそもなぜ使い捨てナプキンの汚物は臭いのか?というと、その原因は生理用品に含まれる化学物質にありました。
紙おむつや使い捨てナプキンで使用されている吸水成分、高分子ポリマーと経血が混ざり合うことで、あの独特のニオイが発生します。布ナプキンを使うと、発生するのは純粋な血液のニオイ。そこまで臭くありません。布ナプキンを初めて使ってみて、経血のニオイが臭かったのは使い捨てナプキン独特のニオイだったんだと気づく方も多いです。

逆に布ナプキンを使ってニオイが気になるときは体が不調のサイン。産婦人科に行って受診したほうが良い時だと学びました。布ナプキンだと体調変化に気が付ける。そんな気づきが、ますます「もっと使い勝手のいい布ナプキンを開発したい」という私の想いに火をつけました。

漏れない、ムレないを解決する繊維と構成、そして縫製

私が他社の布ナプキンを使っていて一番気になったのは不快感です。最初のつけ心地は下着のようですが、出血をすると事態は一変。ベチャっとしたムレたような不快感に襲われます。

このムレた感じ、不快感を無くすために
・繊維そのもの
・繊維の組み合わせ
・縫い方
と、とにかく色々な変数を組み合わせて実験していきました。

工場の会社の皆さんはは繊維にまつわる知識が豊富で、私のフィードバックに応じて「次はこの生地を使ってみましょう」と次なる一手を提案をしてくれます。ただ、残念ながら生理は月に1度しかきません。当時の私は、誰よりも毎月の生理を待ち望んでいました(笑)。

特に出血量の多い2日目はここぞとばかりに「漏れないか」、試作品を使って実験をします。最初の頃はあまりに漏れが激しくて、椅子まで血だらけになったこともありました。でも一歩ずつ、一歩ずつ、改善と実験を繰り返して出来上がったのがRinennaの布ナプキンです。

素材も縫い方も、どこにもない布ナプキン

Rinennaの布ナプキンは、これまで世の中に出回っていた布ナプキンとは、使われている繊維も縫い方も違います。表面に使われている繊維は、赤ちゃん用布おむつと同じものです。吸水性が良く、それでいて赤ちゃんにも使えるほど肌触りの良い繊維です。

そして一般的にはロックミシンで始末する部分も、Rinennaではあえて手縫いにしています。
当時、肌が敏感だった私は、ロックミシンだとナプキンがズレて当たった時に痛くなってしまいました。そこでRinennaではあえて袋縫(ふくろぬい)という手法にし、最後は手でまつり縫いする処理をしています。これによって縫い目が直接肌に触れることがなくなります。
工場サイドからは、この部分でかなり難色を示されましたが、どうしても私的には妥協ができない部分でした。結局、最後は工場サイドにリクエストをのんでもらい、手縫いの工程を入れた形で製品化に至りました。

そして2018年。ECサイトが救世主エンジニアSさんの手によって新しく生まれ変わったタイミングで、Rinennaの布ナプキンは正式に販売をスタートすることができました。


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