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社会課題解決とマーケティング 表裏一体の関係

こんにちは!株式会社リディラバの石井です。

私が日々お仕事を通してお会いする方は、「社会課題を起点として、新たな事業・新たな価値を創り出したい」「非連続な社会の変化を理解し、正解の無い中で当事者意識を持った人材を育成したい」と、社会課題等のトピックに対し、目を輝かせてお話をする方々が非常に多いなと改めて感じています。

とはいえ、そのように経営層が主導する「社会課題」「SDGs」「ESG」等、売上や利益とは対極にある(と捉えられている)これらの考え方に、実は辟易している事業部の方は多いのではないのでしょうか?

今回は、「社会課題解決なんて1円にもならん!」「とにかく目の前の業務で売上を上げるんだ!」と、日々の業務に携わられている事業部の皆さんに向けて、社会課題解決とマーケティングの表裏一体の関係についてご紹介します。

社会の変化に伴うマーケティングの変容

改めて、マーケティングという言葉について考えてみたいと思います。

マーケティングの定義は、「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」の事を言います。

即ち、「企業が広い視野を持って、顧客が真に求める価値を精緻に理解し、その情報を提供することで、売れている状態を作ること」と言えます。

事業部で働く多くの方がKPIとして持っている売上や利益ですが、それら数値を立てるためには、顧客が真に求める価値を理解し、その情報が提供できているということが前提である事は言うまではありません。

一方、顧客が真に求める価値は社会変容に合わせて変化していきました。

戦後、社会の共通認識としてある課題、社会課題は、国民誰しもが同じような課題を抱えているものでした。「誰もがおなかいっぱい食べられる」「一家に一台の○○」等、目に見える大きな課題に直面していた時代でには、マスに低価格のソリューションを提供していれば、何ら問題はありませんでした。古き良き「安い」「早い」「うまい」で良かった時代です。

その後、モノがあふれ、供給側が増加したことで、単にマスに低価格で商品やサービスを提供していればよかった時代は終焉し、P&G社が掲げる「Consumer is boss」に代表するように、顧客である「買い手にとって何が必要であるか」に対して徹底的に向き合うことになります。

消費者の分析を通して、攻めるべき対象を特定し、自社製品・サービスのポジションを明確にする、今日まで使われる「STP」と呼ばれるマーケティング手法が確立されたのはこの頃です。

新たな志向軸『社会的価値』と、マーケティングに落とし込む難しさ

もちろん、先述までの顧客中心のマーケティングは未だに重要な考え方ですが、このアプローチ自体が一定頭打ちに合っているのも事実です。これに対し、多くの企業では、特定の社会課題解決を企業のみならず顧客や株主、その他関係者等との共創を通じ、社会課題の解決と共にビジネス目標の達成も実現するアプローチ実践するようになっています。

ご存じの通り、2011年の東日本大震災、2015年の国連サミットにおけるSDGs採択、そして昨年から今まさに直面するCOVID-19の影響等を踏まえ、顧客は商品価値そのものだけでなく、新たに企業・商品・サービスが持つ『社会的価値』に注意を払うことが一般的になりました。

消費者はより『社会的価値』がある商品を志向し始め、また株主もESGに取り組む企業に対して、「より安定成長による長期リターンの見込みがあり、下落リスクが低い」ということから、より社会性の高い企業への投資額や売上の向上が見込まれています。

一方、事業を通じた特定の社会課題解決を掲げるようになった一方で、旧来のマーケティング手法で行っているがために、実際の課題解決が行われない、またマーケティングとして成立しないケースが発生しています。

より解像度高く「顧客が何を必要としているか」を理解するために

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企業として社会課題解決を掲げつつも、解決に至らない、また事業として成立しないのは何が原因なのでしょうか?

その答えは、『イシューの適切な領域設定』『ミクロリサーチ』にあります。

社会課題解決で言うイシューの領域設定は、例えば『フードロス』や『高齢者問題』といった、大きな単位でのイシューの切り取り方ではなく、『食品にまつわるサプライチェーン上の小売領域におけるコンビニの課題』、や『地域インフラの衰退が進行し、自動車を運転できなくなった高齢者』等の解像度で課題を見る事を言います。

先述の通り、戦後の誰もが同じ課題として持っていたビッグイシューは、増間アプローチで解決できた一方で、社会構造が複雑化し、誰もがもつ中小規模の課題を解決する商品やサービスを提供するには、このような領域設定が必要になります。

また、前段の領域設定ができていないと、課題に直面している現場の声を理解する事、適切なミクロリサーチはできません。アプローチすべき領域が正しく設定された中で、実際に現場へ赴き、生の声を聞くことで、統計やマクロリサーチでは語られない、「買い手にとって何が必要であるか」が理解できます。

適切な領域設定をする事、そしてより解像度が高くなった対象に対して、現場の生の声を伺うこと。より「買い手にとって何が必要であるか」が明確になり、特定の社会課題解決ができる事で、顧客が志向する『社会的価値』を適切に提供する企業になるのではないでしょうか。

おわりに

まだまだ、話し足りないことは山ほどあります。

今までの話を要約すると、社会の変容とは消費者の課題の変容であり、その課題を持つ人たちへのアプローチとしてマーケティングが変容することでもある、ということです。

もちろん、マクロリサーチをベースに顧客へ刺しに行くマーケティングは今なお健在です。一方で、社会が成熟し、高度にシステムが錯綜する中で取り残された消費者が抱える、中小規模の社会課題は、解決されず残されたままになっています。

今後、これらの領域に刺しに行くマーケティングを行い、より社会課題解決型の企業になっていくためには、現場へ赴き、「N=1」のミクロな課題への解像度を高める領域設定をすることが必要不可欠です。

リディラバでは、社会課題現場へ赴くスタディーツアーや、フロントランナーをパートナーに迎えた人材育成プログラムを実施しています。

社会課題解決を目指す一方で、領域を特定できない、また現場への訪問を通して、課題を精緻に把握したいというご希望があれば、こちらをご参照ください。

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