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駐在妻へ捧げる

マドリードの私の料理教室には、駐在妻さん達が沢山来てくださいます。

私は結婚適齢期と言われていた25才位の時に、この『駐妻』になりたくてしょうがなかったんです。

「海外に住みたいけど自分でバリバリ仕事してじゃなくて、旦那さんについて行って、その土地を楽しむなんて最高じゃ~ん!しかもニューヨークなんて住めたらいいよね~」

なんて、女友達と本気で思ってました。結局は、私が好きになる方は海外とか興味ない方が多くて(たまに確認してたw)、挙げ句の果には「みゆきの、まいっか精神が耐えられない」って振られたり(苦笑)、とにかく、薄々気づいてましたが私は日本の男性には『結婚不適格者』のようで、『駐妻』の前に結婚も諦めて、30才で再びスペインに料理留学をすることになります。

その3ヶ月の留学の期間でスペイン人の結婚相手を見つけたという快挙は今日はどこかに置いておきます。

マドリードの料理教室は、有り難いことに皆さん口コミしてくださるので、ほとんどの駐妻さんとお会いすることができます。

コロナ禍で対面レッスンが減りましたが、毎週とか毎月とかレッスンで会うと結構、生徒さんの表情から今の感情が分かったりするんです。落ちてる時期だなぁとか、何かに悩んでる頃だなあ、とか。

本当は良くないことなのかもしれませんが、日本人の少ないマドリッドで、貴重な出会いを大切にしたいので、私は生徒さんと友達になってしまうんです。

で、マドリード駐在に来られる方が驚かれるのが、派閥がなく、かなりサバサバしている方が多い所。

多分、1人でも歩き回れるし、面白い趣味になるものもあるし(フラメンコとか刺繍とか)、この広い青い空の下にいると陰湿な世界なんてちっぽけにみえるし、という理由が考えられます。私も、料理教室始めた当初は、 競合企業の奥様がレッスンで一緒になるけど大丈夫かな、、、なんて思ってましたが、皆さん横の繋がりもあるみたいで、今は全然気にしないでお誘いしています。

ランチやレッスンで色々話していると、子供が学校に馴染めないことに悩んでいたり、自分の将来のキャリアが心配になったり、旦那様の会社にかなりの気を使って行動しなければいけなかったり、色々あるんですね。

なので私はせめてマドリッドの通常生活の事に関しては、素早くいろんな情報をお届けするようにしています。せめて生活の基盤が整えば他のことに目が届きますからね。

私がスペインきた時に、薄切り肉はどこで買うのかとか、卵は生で食べれるのか、とかお金を出してもいいので、そういう情報がすぐ欲しかったんです。が、結局自分で調べていくしかなく、何だかとても時間がかかりました。これから生活をする方にはそんなことに時間をかけて欲しくないので、レッスン中に教えられる情報は全て教えています。 

(これからはYoutubeにアップしようかと思ってます!)

料理留学した時に私みたいな人がいたら、もっともっと効率的にスペイン料理を学べたのになぁといつも思ってます。逆にね、いつもあの時の自分を思い出して、こんな時あの子ならどんな情報が欲しいか、を常に考えてレッスンをしています。

昔の駐妻さんは専業主婦の方が多かったですが、最近はバリバリ仕事をされてきた方でキャリアを一時中断してきてる方もいらっしゃいます。問題に立ち向かいながら、家庭をサポートして、デフォルトで旦那さんの業務がスムーズにいく状況を作らなければいけない、という役割は意外と大変な気がします。

スペインは過ごしやすい国なのであまり問題はないんですが、日本人が多すぎる国や、1人で動きづらい着任先だと結構気を使うみたい。

少なくても、20代の頃に甘く考えていた『駐妻』イメージと実際のとはかなり違い、私なんかは1ヶ月位して 「こんな裏方役なんて無理」とか言って日本に帰ってしまう気がしてならないんです。

聞いていると、奥様は旦那様のお財布から自分のやりたいことへの費用を出してもらいづらいというかたが多いです。とってもわかる。でもね、旦那様の収入は家族のサポートがあって成り立ってる、家族皆での収入だと思っています。海外の仕事で大変だとは思いますが、奥様のケアも福利厚生。奥様に好きな事をする時間を作ってくれる旦那様には拍手を送りたいくらい。 (感謝を伝えるだけでも嬉しいですよね。)

言いたかったのは、私が憧れていた駐妻さんは意外と大変だってこと。

あんなに駐妻になりたかったのに、現実的に想像してみると、自分のキャリアを置いて夫の為に海外に来たら、絶対に悶々としてるはず。夫は外で仕事して、私は言葉も将来のキャリアも分からぬ国にいて、自分のことなんて何もしてないのに子育てと家事で1日が終わる、、、 とかの状況だったら、「自分は何者なのか?」とずっとモヤモヤしてると思うの。

でも、少し俯瞰して見ると、日本の忙しい生活を少しお休みして、家族と向き合い、自分を試してみる数年間があってもいいのかなって。 

駐妻が肌に合ってるマイペースや前のめりで過ごせる方は、『人生の夏休み』と考えてる人が多い。その上で、その土地でしかできないことが学べれば良いですよね?  

私がスペイン料理の講師養成講座(ライセンス付き講座)を作ったのは、元々はそういう駐妻さん達を想像 しながらつくったんです。この数年が後で「価値のある数年だった」となってもらえるように。

今月からライセンス付き講座をスタートしました。素敵なメンバーが決まり、『駐妻』さんもいらっしゃいます。ライセンス付なので普通のレッスンより高額になるのですが、それをOKした旦那様は、奥様の今後のキャリアをきちんと考えてくださってる方で、素晴らしい!と、心から称賛します。私もお返しができるよう、内容の濃い講座にしていく予定です。

そんな駐妻さん達が(もちろんそうじゃない人も)、私の料理教室では本音で色々話せて、素の自分で楽しんで、かつスペイン料理や生活や文化の事を勉強できる場を提供することが私のミッションかなとか思ってます。

P.S. 『まいっか精神』は今でもそのまま。(だからスペインに住んでるんだろうなぁw)結婚生活において、『まいっか精神』は超重要だと思いません?   直さなくて良かったと思ってま~す。w


頂いたサポートは、マドリードでの夢のオープンキッチンスペース設置用に使わせて頂きます。日本からいらした時にそこで一緒にピンチョスをつまみましょう!