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HEAD PHONES PRESIDENT ロックミュージカル『COLORS』出演後記2

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舞台未経験の私にオファーがきた理由

「Ricky、舞台に出てくれない?」

ANZAさんからの突然の嬉しいオファーに、前のめりでOKしたものの、はて、どうしたもんか。

演技も舞台も経験ないぞ。

強いて言えば、10代の頃タレント養成事務所でミュージカルの稽古を経験したが、たった数ヶ月の経験でプロの役者さん並にできるとは到底思えない。

しかも他の出演者は、舞台「セーラームーン」や「レ・ミゼラブル」などに出演経験のある役者さんと有名なタレントさん、そして500人の中から選ばれたダンサーさんだ。大丈夫か私。

でも。
「数々の有名舞台で活躍してきたANZAさんが誘ってくれるのだから、私でイケるという何かしらの勝算があるのだろう」
そう思うことにした。

ら、本当にそうだった。

私の役は「ハードめのロックボーカル」

まんまや~ん!

なんだか急にイケる気がした。
いや、実際はそんな簡単じゃないんだけど、自分にできるか不安があったので、役が身近なキャラクターだと分かって、ホッとした。

さらに、歌は歌うがセリフはない。

ますますイケる気がした。
いや、だから、そんな簡単じゃないんだけど。気持ちは大事よね。自信がないものを人に見せるわけにはいかないからね。

セリフはないはずだったのに…

そして舞台稽古が始まった。
稽古場へ行くと、ダンサーの皆さんが手慣れた様子で立ち位置の目印を作っていた。

出演者の中では、私がいちばんの新人だ。
ピアニストの松浦美佳さんと私以外は、『COLORS』の前作『STAND IN THE WORLD』で共演している。

とにかく稽古に迷惑がかからないよう、できるだけの準備をして臨んだ。

準備の中に、個人的にはかなりプレッシャーを感じる役どころがあった。

稽古に来られない役者さんの代役、つまりセリフの代役だ。
いくら稽古とはいえ、代役とはいえ、百戦錬磨の役者さんの中でセリフを言うなんて、自分の役以上の緊張だ。

セリフの代役を終え、表面的には涼しい顔をしながら、心の中でこう思った。

「役者ってすげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

声を張りながら役として自然にしゃべることの、なんと難しいことよ。
この日から私の俳優さんへの尊敬度が10倍増しになった。

同時にこっそり演技に興味をもったことは、内緒だ。

ご本人登場アトラクションか?

セリフ代役のお役目が終わったのも束の間、次は歌のリハーサルだ。

歌うのはもちろん、HEAD PHONES PRESIDENTの曲 。

演奏ももちろん、HEAD PHONES PRESIDENT だ。

つまり私は、HEAD PHONES PRESIDENT の演奏で歌うわけだ。

うーん、シビレるぅ。
ものまね歌番組で「ご本人登場」されたものまねタレントの気持ちを体験するアトラクションかよっ(喜)

これまでHPP の曲を聴き、口ずさんでもきたが、ボーカルとしてちゃんと歌ってみたことはなかった。

スタジオで合わせる日はサウンドチェック程度で済ませられるよう、あらかじめオケ(歌なし演奏音源)で歌い込んでおくことにした。

個人でスタジオに入り、もらった生演奏のオケ(これを聴ける時点でご機嫌)を鳴らし、さぁ歌うぞー♪

わん、つー、すりー、はいっ!

……。

ん?

え?

あ~れ~!?

こんなはずじゃ……


次回へ続く


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